トランプ大統領の「ディール」に世界経済が振り回されている中、アメリカの景気減速懸念から株価が下落。混乱が続いています。
トランプ大統領とプーチン大統領 2018年 クレムリンHPより
トランプ氏は民主主義によって選ばれた大統領ではありますが、その手法はどちらかといえば民主的というより独断的で、ロシアのプーチン大統領や中国の習近平主席に似たトップダウン型の政治手法です。
私を含め多くの日本人は、これまで資本主義社会の経済成長の恩恵を受け、穏健な民主主義的な社会が良い社会だとずっと信じてきました。だからトランプ大統領の政治手法については好ましく思わない人が多いと思います。
しかし、現在の少数与党を率いる石破政権と強権的なトランプ政権やロシア、中国とを比較するとどうでしょうか?
民主主義が絶対的に優れているかと問われれば、疑問を感じるのではないでしょうか。
少なくとも、現在の日本の民主主義には多くの問題があると思います。
自民党が少数与党になったことで複数の野党がキャスティングボードを握る争いを繰り広げています。近づいてきた参議院議員選挙を睨んで、減税や補助金といったポピュリズム政治に走っています。長期的なビジョンも無ければ、財政の裏付けもないバラマキに歯止めがかかりません。
そもそも日本では選挙の投票率が低く、一票の格差も是正されず、民意を反映したものとは言えません。投票に行かないのは国民が悪いと言えばそれまでですが、ネット社会なのに未だにポスターを貼って、投票所まで行って投票するという制度自体が時代に合っていません。
また議論を尽くすことももちろん否定はしませんが、何かを変えようとするときの時間と手間がかかりすぎてスピード感が無いのも日本型の民主主義の弊害です。
トランプ大統領の目まぐるしく変化する政策は混乱も生みますが、トップダウンでやってみて間違えたら修正するというプロセスには、日本的な意思決定には無いスピード感で、魅力を感じるのも事実です。
日本が独裁国家になって、ロシアや中国のような情報統制されるような社会になって欲しいとは思いません。しかし、日本政府がやっている国家運営には構造的に大きな問題があることを認識し、改善していかなければ日本の将来は更に暗いものになると思います。
日本を含めアメリカ以外の西側先進国のトップが中国・ロシアのトップに比べて政権担当機関が圧倒的に短く「小物感」が強い。それが現在の民主主義の限界を象徴しているように感じるのは私だけでしょうか?
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年3月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。