政治家業も真の意味で命をかけた仕事と言えそうです。立花孝志氏が財務省前で演説をしようとして暴漢に襲われ本人が「耳が取れそうなった」というほどの負傷を負いました。犯人は本気の殺意でやりそこなったと悔いています。安倍氏、岸田氏、トランプ氏と次々狙われる中、政治家も楽じゃないと思います。政治家の信条に民の全員が賛同することはまずないのですが、相手が嫌だからと言って殺意をもってそれに抗議するならば人の抑制力が相当劣ってきたということ。私は人と人のコミュニケーションが不足し、結論ありきの社会になっていることも要因の一つだと思います。
では今週のつぶやきをお送りします。
3000㌦のゴールド
以前このブログで「金は3000㌦になると思う」と書きました。こんな予想は予想のうちに入らないのですが、あまりにも速いペースでの金価格の高騰に長年多数の金鉱山株取引を手掛ける私としても驚きを隠せないのです。金の価格はこれほど急速に動くものではなく、比較的小さなボラティリティの中、インフレ率に一定の係数をかけるように価格が形成されます。日経は「20年で10倍」と報じていますが、これは統計のどこと比較するかであって45年前の1980年と比較すれば4倍にしかなっていません。よって超長期の比較においてダウなど株価指数との比較論も多いのですが、あまりまともに信じない方が良いでしょう。
よって今考えなくてはいけないのはなぜ中央銀行がせっせと金を買い込んでいるのか、その行動の本質を知ることがより重要です。以前、金は金利がつかないからその価値に意味がないとおっしゃった論客がいましたが、それはごく一面を見ているにすぎません。配当をしない企業の株価は無価値なのかというのと極論では同じです。一番大事なのは世論が公平に価値を見出し、かつ取引市場が充実していることです。そして金の場合は各国の中央銀行が代替資産として保有することで政府通貨のような信頼度を付与しているような状況なのです。
各国が金を買う行為とはドル基軸に対する不安の裏返しでしょう。トランプ氏があれだけ強気発言ができる最大の背景はドルが基軸通貨だからなのです。仮に世の中に政治的に中立で第三国の影響を受けないXという基軸通貨があり各国の為替レートはX通貨を中心に交換比率が決まるとすればドルの価値は大きく剥離するはずです。理由は債務が大きすぎることと国内政治に不安定感があるからです。金を含む多くの商品取引はドル建てですが、これがX通貨建になればどのようなシュミレーションになるか気になりますね。誰も疑うことがないドル紙幣がアメリカのローカル通貨に絶対にならないとは限らないと考えれば金が欲しくなる理由にも納得なのです。
トランプ氏の賭け、ロシアはアメリカにほほ笑むのか?
今週、所属している団体が主催したウクライナ問題に関する討論は日本の有数の研究者を含む学者ら8名ほどが2時間強にわたり議論を繰り広げました。研究者同士の発表や討論はメディアなどの加工がなされず、参加者の特性も限定されているため、より単刀直入で切り込んだ討論が行われるのが特徴です。当然ながら停戦可能性の議論が耳目を集めたのですが、討論ではプーチン氏は妥協する理由がないという論調が主でありました。中でも面白い論点だったのが「いま、停戦したらプーチンは開戦前より不利な条件になる」というものでした。
トランプ氏は高官をモスクワに派遣し、実務ベースでの停戦条件交渉を進めています。ウクライナとの事前折衝と条件を持って交渉に当たっているでしょう。それをロシアがどう判断し、停戦するならどのような条件で妥結するか、という具体的な点を詰めているものと思われます。プーチン氏は停戦について総論賛成、各論反対の立場にあります。停戦には「危機の根本原因除去」が前提と述べています。この根本とは安心安全な隣国であり、ロシアに危機を及ぼさず、できれば親しみを持って協力体制を持つことだろうと察しています。
プーチン氏は急がないけどトランプ氏は大統領としての功績を直ちに上げたいのです。とすればトランプ氏は足元を見られてるわけです。特にここに来てトランプ政権全般への不満がアメリカ国民の中に広がりつつある中、24時間で停戦させると豪語したトランプ氏としてはプーチン氏に妥協をしてでも停戦合意に取り付けたいのでしょう。学者や研究者は現状、予見できる範囲でプーチン氏の合意はないと見ていますが、妥結させるためにウクライナには屈辱的なスィートディールもありかもしれません。ところでウクライナとの停戦協議をしていたルビオ国務長官が協議中、一人だけにやけていたのですが、彼も功績が上げられるという嬉しさが顔に出たのでしょう。人格が分かります。
マクドナルドの値上げが話題のようですが
マクドナルドが値上げを発表、昨年1月以来14か月ぶりとなるそうです。金額をざっと見ましたがそれでもワンコインかそれにちょっと足すぐらいで食べられるのですから値上げで客離れはしません。断言します。今、ラーメン屋も1000円の攻防で「高級ラーメン」と「普及ラーメン」では大きな価格差が生じています。いわゆる二極化でとことん突き詰めたラーメンを食べたければ長時間並んで1500円払う必要があります。それでも客は絶えないのです。
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前回東京に行った際、どうしても吉野家をチェックしたくなり、渋谷でランチタイムに行ったのですが、様変わりにびっくり。テーブルの注文用のタブレットで注文すると病院でクスリをもらう番号のように「〇番さま、カウンターに取りに来てください」といった合成音声が流れます。そして食べ終わると自分で片づけ、最後の精算はなぜか半自動。「味わう」というより効率化を目指し過ぎて「何か変だなぁ」という虚しさ。「また行くか」と言われたらカウンター式で「並1つ!」と言えるところなら伺います。物価の優等生と言われる「吉牛」でも500円で収まるのはごくわずかのアイテム。
北米は物価高でサラリーマンはどう対処しているかと言えば自衛策でしょう。北米では私が馴染んだ頃からブラウンバッグという言葉があるとおり、ランチはサンドウィッチを袋に入れて家から持ってくる、そしてワーキングランチという言葉があるように質素でさっさと終わらせるのです。これを日本に当てはめれば弁当持参かせいぜいコンビニ弁当。つまりお得なランチ定食を食べに行くという発想はありません。入居する雑居ビルではテイクアウトのランチを持って帰ってくる勤め人が昼過ぎに戻ってきます。私がランチに家へ帰る理由は待ちたくないからです。昼はせいぜい30分で終わらせてそれより早く帰りたいのです。
後記
大病院で胃カメラと細胞検査。病院で担当の専門医が「2年前に酒を飲むなと私は君に言ったよね。どうしている?」と聞かれ、「すみません、缶ビールを一日1本ほど…」というと治療用ベッドに寝かされ麻酔をかける直前、手を私の肩に置き「何故、止められないのだ!」と怒りだし、「君は20階建ての建物の屋上で足をもう少しで踏み外すところだ。後ろに下がる努力をしなさい」ときつーく言われました。挙句の果てに「6カ月後に内蔵のスキャンをします」と。げげっ。このドクター、本気だわ。私は今、かなりビビっております。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年3月15日の記事より転載させていただきました。