自動車整備業界では人手不足が深刻化し、特に中小・零細事業者の廃業が増加しています。2024年の倒産・廃業件数は446件と過去最多を記録し、整備士の数も減少傾向にあります。
参照:全国で消える自動車整備 24年撤退が最高、人手不足響く 日経新聞
後継者不足やEV・自動運転技術の進化に対応できない事業者が多いことも課題です。
一方、日本の自動車保有台数は8000万台を超え、整備需要は堅調ですが、整備業の有効求人倍率は2023年度に4.99倍と高水準に達しました。特に整備学校の入学者が大幅に減少し、2003年度の1万2300人から2020年度には6300人にまで落ち込んでいます。
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東京都内で自動車整備工場が4年間で150工場減少していますし自動車整備学校の入校者は20年前から半減しています。
参照:日本の若者はなぜ「自動車整備士」を目指さなくなったのか「シンプルな理由」 河合雅司
自動車整備は、国家資格が必要であるにもかかわらず給与が低く、サービス残業も常態化しているため、若者から敬遠されているのが現状です。
自動車メーカーや部品メーカーには、2級整備士の資格保持者が多く在籍しています。しかし、資格を持っていても整備の仕事に就きたがらない人が多いのが現状です。不足しているのは有資格者ではなく、「良好な労働環境」と「十分な給与」です。
文部科学省は18歳人口の減少にもかかわらず大学を増やしつづけてきました。この影響で、日本の産業を現場を支える人材が払底してきています。
背景には少子化に加え、若者のクルマ離れや低賃金、過重労働のイメージが影響しています。国土交通省も啓発ポスターの作成など対策を講じていますが、抜本的な改善が求められています。