「水平比較」で見えてくる本当の価値

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今週、資産設計実践会メンバーとスタディツアーでカンボジアに出かけます。プノンペンには魅力的な投資対象がたくさんあり、私も既に購入した物件の建設状況をチェックしたり、銀行口座の整理をしようと思っています。

カンボジアのような国で海外不動産投資を行う際には「水平比較」をするのが有用だといつも投資家に説いています。

「水平比較」とは、同じような国を横に比較することです。相対的にその国の投資の魅力を判断することができるメリットがあります。

例えば、カンボジアに投資を検討しているのであればカンボジアだけを調べるのではなく、東南アジアの類似の投資対象国であるベトナム、フィリピン、タイといった国も同時に調べて、相対的な投資のリターンとリスクを比較する。

それによってカンボジアの投資判断がより精緻にできるようになります。

実は、この「水平比較」は、投資判断だけではなく、飲食店の比較にも活用することに最近気が付きました。

先週、定期的に通っている2つの鮨店に連続していく機会がありました。どちらもグルメ評価サイトで高いレーティングを得ている高級店ですが、価格には2倍程度の開きがあります。

普段はどちらもそれぞれの特徴のある素晴らしい鮨店だと漠然と思っていました。しかし、今回1つ目のお店の味を忘れないうちに、もう一つのお店に出かけることになりました。

そうなるとシャリの味わい、ネタの鮮度と切り方、握りの大きさ、ツマミの工夫、アルコールの品揃えと価格など、多面的に細かく比較することができました。

どちらのお店が良いとは言いませんが、「水平比較」によってカリテプリには圧倒的な差があることに気が付きました。

数多くのものを体験して比較することで、それらの間にある微妙な違いをくっきりと認識することができるようになります。

1つの国だけに絞り込んで投資判断をすると、投資がうまくいかない可能性が高まるのと同じように、1つの飲食店だけではなく数多くの類似点に足繁く通うことによって、店の評価に関して客観的な価値判断に付くことができると思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年3月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。