スタバに払っているのは「飲食代」ではなく「場所代」

ほぼ毎朝通っているスターバックスですが、いつもはショートドリップコーヒーをマグカップでモバイル注文しています。今週珍しくフードメニュを追加してみました。

エッグ・ソーセージマフィンのような商品でしたが、ぐにょっとした食感でぼやけた味わい。残念ながら私の口には合いませんでした。

スターバックスのフードメニュを見るとグルテンフリーの商品はほとんどなく、甘みが強いスイーツ系かマフィンやサンドイッチのようなパンやピタのようなものしかありません。敢えて食べてみたいと思えるものが無いのです。

これは同じコーヒーショップのドトールコーヒーがレタスドッグやミラノサンドといった時々麻薬的に食べたくなるフードメニュを充実させているのとは対照的です。

しかし、フードメニュが充実しているからといって毎朝ドトールコーヒーショップに行こうとは思いません。やはり選んでしまうのはスタバなのです。

考えてみれば、毎朝スターバックスに出かけるのは美味しいコーヒーが飲みたいからではありません。自宅から散歩してお店に入ってのんびりと寛ぎながら、携帯でブログを書いたり、メールのやり取りをしたりするのが目的です。

t_kimura/iStock

Wi-Fiが繋がっているので1時間ほど携帯を使って時間を過ごし、また自宅まで散歩して帰る。そんなルーティンの生活に使う場所。これはまさにスターバックス自体が目指している「サードプレイス」(オフィスと自宅以外の第3の場所)です。

とすれば、スタバに払っているのはコーヒーの「飲食代」ではなく、座ってWi-Fiを使わせてもらうための「場所代」と理解すれば、食事のメニュが「アレ」なのも納得できます。

フードメニュだけではなく、もしかしたらコーヒーさえもセブンイレブンよりイケてないのに毎日通ってしまう。

これは決してスターバックスをディスっているわけではありません。スターバックスは場所を売るビジネスなのです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年3月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。
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