不思議な不思議な日本の政治:なぜ石破氏はまだ首相をしているのか?

「日枝久、元フジテレビのドン」、こう書く日がさほど遠くないうちにやってくるだろうとは思っていました。たまたま、人事が動くとき、そして6月の株主総会に向け4月1日付人事が発表されるタイミングを考え、計算高く動いたように見えます。フジテレビの株価は素直に反応して上昇していましたが私はそんなに楽観視していません。理由は長くカリスマ的な存在だったために社内に判断力と率先力をもってこの苦境を乗り越えていくようなリーダーシップをとれる人が育っていない可能性があり、一般的にはこの後、混とんとするケースもあるからです。今の時代、民放の一つぐらい無くなっても誰も困らないといえばそれまでなのですけどね。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

どうなる株価?

「市場のことは市場に聞け」ですので私は一投資家として呟くだけですが、地合いは悪いと思います。市場では2つの見方があり、1つは相互関税が発表される4月2日頃があく抜けで株が買いやすくなるという声と今後、企業業績がどう出るか見たいという慎重派です。確かに一時的にはあく抜けはあるのかもしれません。ただ4月下旬から5月中旬にかけて1-3月の決算が発表になるわけでまずはそれを見たいという投資家も多いでしょう。本格的に影響が出てくるのは4-6月決算でバイアスがどの程度の下向きになるかで最終的な方向性が打ち出されると思います。

日経平均はダウ平均と似た動きになっていますが、ボラティリティは日経平均の方が大きいので要注意ではないかと思います。特に日本の場合、自動車産業が全産業に占める影響度は大きいのでここが読めないと積極的に買う姿勢にはならないと思います。日本の金曜日は680円ほど下げましたが権利落ち分が310円ほどありますので実質は370円安。ただ、週明けは重そうで、気をつけたほうが良いかもしれません。

日本の市場でもスタンダードとかグロースはそこまで下げていないのが特徴でプライム市場での外国人投資家と機関投資家の動きに翻弄されている可能性はあります。世界をうろつくマネーも正直、今の段階で積極的に買える国も業種もあまりありません。よって資金をより安全なところ、ないしは金関連に回している可能性はあります。ただ、金相場をずっと見続けている私としては世間一般が金に注目し、想定以上の上昇をしていることから私は売り時は近いとみており、手持ちの金鉱山関連は全株売却の準備ができています。

不思議な不思議な日本の政治

私には非常に理解しがたいものがあります。それはなぜ石破氏はまだ首相をしているのか、そしてなぜ下ろそうとする動きがどこからも出ないのか、であります。理由はもちろん知っています。野党にとって参議院選でこれほど戦いやすい相手はいないというわけです。しかし、立憲の野田氏がやりやすい相手というほど立憲の足元が堅固か言えば自民と共に沈み込む気がします。「昭和真っただ中の党首じゃ、もうおしまいよ」というわけです。

石破首相と玉木氏

現実的に参議院選なので自民がどれだけ負けようが自民党の総裁が首相であることは変わりません。シナリオとして衆議院解散に打って出て衆参同時選挙もなくはないですが、自民党のメリットがほとんどないと思います。それをすれば高い確率で玉木首相になるような気がします。では自民党が顔を変えればよいではないか、と思うのですが、これまた水面下で文句は言うものの動きが取れず、窮地にある石破政権を手伝わず、であります。これでは「同じ穴の狢」ではなく、「同じ穴のウジ」のようなものでしょう。日本を路頭に迷わせているのは、自民党が国民の期待に応えられないことであり、森山氏をはじめとした党幹部が自民党の持てる才能のほんの一部しか活用できていないことにあるのではないでしょうか?

私は「玉木首相」は頂けないと思っています。何でしょうかねぇ、軽すぎでふわふわしている感じ。野党癖がついていて、玉木氏にメディアの取材が集まりいい気になっているように見えます。日本に必要なのはもっと緻密でポリシーを持っているリーダーだろうと思います。「いるのか、そんな人?」と言われると私も困るのですが、中道左派だった国民民主党が勢いに乗って中道になりつつある軽さを受け入れるのか、という点からしてもまだ同党の骨組みは堅固ではないと思います。そういう意味からは維新の失敗は痛かったです。

カナダのアメリカに対する姿勢

日本のメディアはカナダに対して冷たいと思います。トランプ氏と戦っても勝てっこないじゃないかというトーンです。私はカナダに長年住んでいるのでポジショントークではありますが、これは勝ち負けの問題ではないと思うのです。いざ、そういう立場になった時、何ができるか考えたとき、私はカナダ政府は勇ましいと思っています。例えば日本が中国と不仲になり経済、貿易が止まると仮定した時、私が「日本なんて中国と戦って勝てるわけないじゃないか」といえばムカつくでしょう。それと同じです。

カナダは今、隣国政策を思いっきり見直しています。世界一長いこの国境の壁はより高く、より超えにくくなるでしょう。カーニー首相は現在議席を持っていないため、4月28日に総選挙を実施し、議席を持つ首相をめざします。世論調査ではカーニー氏の自由党は保守党よりやや有利であるもののまだ勝負は見えていません。今日、カーニー氏はトランプ氏と初の電話会談を行い一定の成果があったようです。総選挙で勝てばトランプ氏と対面交渉に臨むことになるようです。勝負をかけながら交渉も尽くす、この姿勢は見習いたいです。

カナダの反省は今までアメリカに頼り過ぎた点です。今後、欧州とアジアとの関係強化に動きます。日本は良いカウンターパートになるとみています。中国はアメリカの経済制裁を受けてもアメリカ以外で貿易を伸ばし、アメリカなしでも成長できることを示しました。ならばカナダもできるでしょう。カーニー首相の「経済や安全保障面で緊密に協力するという、かつての米国との関係は終わった」という発言は極めて重く、決意表明とも取れます。もちろん、政権トップは数年間の在任であり、カナダとアメリカという長期的な関係とは別次元にあると考えていますが、人口が1/10のカナダの姿勢は見上げたものだと思います。

後記
国際関係論では世界的権威のひとりでブリティッシュコロンビア大学の名誉教授のご自宅にお邪魔し、日本人の国際化について何ができるか1時間半にわたり議論しました。なかなか奥深いトピックでもちろん結論は出ず、教授から「出張中の3週間のうちに主張する点をレポート4-5枚にしてまとめて提出してくれ」と言われたとき、こりゃ、大学のゼミのようだなと思わず苦笑い。ただ、こういうレポートは教授間でシェアされる可能性もあり、かなり真剣に取り組む必要があります。久々に学生に戻ったつもりで書いてみましょうかね?これもよい刺激です。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年3月29日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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