神戸に来ました。いつもは新幹線で来るんですが、今回は分け合って人生初の長距離フェリー。六甲アイランドの神戸港から神戸上陸です。
今回神戸に来た目的は、生田神社やその周辺のライブハウスで開催されたアコースティックフェスを見るため。神社をライブで使うってなかなかすごい試み。10年来のファンであるmiwaさんや奥華子さんたちのアコースティックサウンドを楽しみました。
このライブの開始は昼から。フェリーは8:30ごろの到着でしたので時間があります。この時間を利用して神戸の旧外国人居留地を歩くことにしました。
旧外国人居留地は昨年夏も訪ねブログにあげています。
今回はこのときには訪ねることができなかった京町筋周辺を歩きます。
京町筋を三宮駅側から歩いて南下します。最初に現れたのは神戸市立博物館。旧丸ビルを設計した桜井小太郎の設計により昭和10年に竣工した建物で、当初は横浜正金銀行神戸支店として建設されました。その後は東京銀行神戸支店を経て博物館に転用されています。ギリシャの神殿のような円筒柱が特徴的です。
神戸市立博物館の前に立っているのは古い電話ボックス。明治時代の電話ボックスを模して造られたそうですが、いつからあるのかは不明。今も電話ボックスとして利用されています。レトロな建物の並ぶ旧居留地の景観にマッチします。
京町筋から海岸通りに出てきました。かつてこの道の向こうはすぐ港。通りには多くの西洋風の風格漂う建物が並んでおり、海外から日本に戻る日本人たちを誇らしく迎えてきました。
海岸通りの写真左手の建物が神港ビルヂング。昭和14年竣工の8階建ての建物で角に建つ塔が特徴的です。もとは川崎汽船の本社ビルであり、現在もオフィスビルとして活用されています。塔のまわりや屋上部分の装飾は幾何学的でアールデコの特徴を備えています。
道路を挟んで向かいにあるのがチャータードビル。日本の大規模近代建築の礎を築いたJHモーガンの設計により、イギリス資本のチャータード銀行の神戸支店として建築されました。こちらも神戸市立博物館と同様ギリシャ風の円柱がアクセントとして並べられています。
2階より下は重厚な中に細かい装飾が施されたデザインとなっていますが、3階以上は比較的すっきりとした印象です。現在はゴルフウェアのショップやレストランなどが入居しています。
海岸通りにはこのほかにも商船三井ビルやシップ神戸海岸ビルなど重厚感溢れる近代建築が並びます。こちらは大正期の建築で、先に紹介した2つの建物は昭和10年ごろの建築。その間わずか15年ですが、この間の建築の流行の変化なども感じながら、比較しつつ歩くと楽しいと思います。
ベランダに出て、市民の方に”お手振り”したい。
海岸通りからやや北に入ったところにある個人宅風の建物は旧神戸居留地15番館。もとはアメリカ領事館として建てられたもので、洋風な中に風通しを良くするために広く設けられたベランダが特徴的です。
残念ながら元の建物は阪神・淡路大震災で倒壊してしまっており、こちらは復元されたものです。昭和41年から建築資材メーカーノザワの所有となっており、「Salon 15 TOOTH TOOTH 旧神戸居留地十五番館」というレストランも併設されています。
15番館の脇に展示されているのは日本初の下水道管、旧居留地下水。供用開始は明治5年という古さです。コレラなどを恐れる西洋人は居留地に下水道を設置することを望みました。そのため下水施設が早期に敷設されることになったのです。
そしてその一部は今も実際に使われています。150年の歴史を経て今なお現役の下水道管があるなんて驚きですね。
こういうポーズって日常であんまりしないよね。
前回訪ねることができなかったエリアを歩いた旧居留地散歩。大正時代が中心だった前回の散歩とは若干時代が異なり、そのときどきの建物の流行を垣間見ることができたと思います。
今回は駆け足で建物の中まで巡ることはできませんでしたが、次に来たときにはレトロな建物の中のカフェで一休みしてこれら建築が建てられた時代のなかにどっぷり浸かってみたいと思いました。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年5月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。