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大停電の責任は送電管理会社レッド・エレクトリカ社にあり
先月末、スペインとポルトガル、さらにフランスの一部を襲った大停電の原因について、調査が進められている。わずか5秒間で15ギガワット(すなわち1万5000メガワット)の電力が失われたという事実は、異常な事態が発生しない限り起こり得ない。サイバー攻撃の可能性も依然として排除されていない。
しかし現在明らかになりつつあるのは、停電が発生した4月28日の前日に、送電を管理するレッド・エレクトリカ社(Red Eléctrica)が、再生可能エネルギーによる発電を異常なほど多く割り当てていたということである。
スペインでは、太陽光と風力による電力が全体の約70%を占めている。再生可能エネルギーは、原子力・火力・水力と比べてコストが割安である一方、天候に大きく左右されるうえ、発電された電力を貯蔵できないという欠点がある。これに対し、原子力・火力・水力による発電は発電量のコントロールが可能である。
経営トップは電力の素人、政治任用の弊害
こうした再エネの不安定さを補うため、レッド・エレクトリカ社では常時気象データなどを収集している。しかし最終的な発電配分の判断は同社に委ねられており、今回の判断ミスが停電の主因であったというのが第三者による分析結果である。
ここで「第三者」と表現するのは、政府がこの見解を公式には認めようとしないからである。なぜなら、同社の筆頭株主は政府であり、経営陣も政府によって任命されているからだ。
ベアトゥリス・コレドール氏
ABC España
現最高責任者ベアトリス・コレドール氏は、サパテロ政権下で住宅大臣を務めた不動産の専門家であり、電力分野の経験は皆無である。
彼女は現政権を率いるサンチェス首相の夫人、ベゴーニャ・ゴメス氏の親友でもある。つまり、不動産の専門家がスペインの電力送電を一手に担う会社のトップに就いているという点で、既に異常な人事である。加えて、同社の役員の半数は社会労働党に関係のある人物で占められている。
彼女が記者会見に臨んだのは、停電発生から48時間後のことであった。それまでレッド・エレクトリカ社は沈黙を貫いた。当然ながら、彼女は同社の責任を否定し、辞任の意向も示していない。年俸54万6000ユーロ(約6550万円)を手放す意思はないと見られる。
サンチェス首相も、責任は発電会社側にあるとの立場を取り、各電力会社に当日の発電記録の詳細な報告を求めた。これに対し、電力会社側は強く反発している。というのも、発電量の調整はすべてレッド・エレクトリカ社の指示に基づいて行われていたためである。
野党は、今回の停電について独立した第三者機関による調査を政府に求めている。政府主導の調査では真実は明らかにされないという懸念があるからだ。
イギリスの金融街シティは、スペインが再生可能エネルギーへの過度な依存から脱却し、原子力発電の比率を高めない限り、外国からの投資は減少するとの見解を示している。