小泉進次郎農林水産大臣は6月1日、東京都内のスーパーを訪れ、政府備蓄米の店頭販売を視察しました。進次郎農相は、想定を超えるスピードで民間事業者が対応したことに感謝を述べ、今後も需要があれば備蓄米を追加放出する意向を示しました。
これに先立ち、野村哲郎元農水相は、備蓄米の放出が党の農林部会に諮られなかったことを問題視し、進次郎農相に対し「ルールを覚えてもらわないといけない」と批判していました。
参照:森山幹事長と元農相による小泉進次郎農相への「苦言」が波紋呼ぶ アゴラ
イオンの備蓄米販売の売り場を視察する小泉進次郎農相 同農相Xより
進次郎農相はこれに反論し、「全てを党に諮っていては、迅速かつ大胆な判断ができない。緊急事態には大臣の裁量で対応すべき」と述べました。また、自身が農林部会長を務めた経験から、党のルールは理解していると強調しました。
野村元農相は鹿児島県での講演で、進次郎農相が「自己判断で発表してしまう」とし、「森山幹事長から注意してもらわないと」と発言。これに対し進次郎農相は、緊急性を理由に独自判断の正当性を訴えました。
一方、元農相の斎藤健氏や堀江貴文氏は、進次郎農相の迅速な対応を支持する姿勢を示しました。
小泉進次郎農相に苦言のJA出身元農相をチクリ「今は緊急事態」「やむを得ない」斎藤元農相が指摘 日刊スポーツ
一方で、石破総理や小泉農相による発言が、市場の価格形成をゆがめており、政治の裁量でコメ価格が操作される状況が続いています。その結果、価格下落のリスクは農家に押し付けられ、政治家があたかも「正義の味方」のように振る舞うという歪んだ構造が生まれているという指摘もあります。
参照:小泉農相備蓄米2000円指定:法の枠を超えた価格介入、コメ農家は撤回と是正を求めるべき 浅川 芳裕
古米中心で量も少なく、米価の根本的な改善にはつながらないとの指摘があります。
参照:進次郎米のイカサマ:JA悪者論は本質的でない 澤田 哲生
また、進次郎農相は26日のテレビ番組で、コメの輸入拡大について問われた際、「あらゆる選択肢を排除しない」と述べ、検討の余地があるとの考えを示しています。そして問題の本質は単純で、コメの輸入を自由化すれば解決できると考えられます。それにもかかわらず、政治家やマスコミがその点に言及しないのはとても不思議です。
いずれにせよ、進次郎農相が農水行政に風穴を開けることを願いたいところですが、かつての沖縄のハブとマングース(※)みたいにならないといいですね。
※かつてハブ対策として沖縄や奄美大島に導入されたマングースとハブの対決のイメージが強いですが、実際にはハブを退治する効果はほとんどなく、むしろ生態系に悪影響を与えてしまったという背景があります。