来年4月から始まる「子ども・子育て支援金制度」は、医療保険料に上乗せする形で、すべての保険加入者から月額250〜450円程度が段階的に徴収されます。
参照:来年4月開始「独身税」子ども・子育て支援金制度!一人あたりの徴収料はいくらなのか…恩恵を受ける人はどんな恩恵うけられる? MINKABU
政府は「全世代で子育て世帯を支える仕組み」と説明していますが、実際の支援対象が子育て世帯に限定されることから、ネット上では「独身税」との批判が広がっています。
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この制度の財源は、総額3兆6000億円規模の少子化対策予算のうちの1兆円となっています。既定予算や歳出改革でどうにもならなかった分を、しれっと医療保険料に上乗せして取ろうというものです。もちろん名称は「支援金」であり、「税金ではないから問題ない」という理屈のようですが、もっていかれるお金が増える事実は変わりません。
一方、結婚や出産の予定がない人々にとっては、実質的な増税であり、年収に応じて年間数千円から8000円近い負担増になる見込みです。独身者だけが対象ではないとはいえ、「結婚できない現役世代が最も搾取される」との不満も根強くあります。
過去に独身税を導入したブルガリアでは、むしろ結婚資金が貯まらず出生率が下がるという“逆効果”の歴史もある中、日本は同じ轍を踏もうとしているようにも見えます。
政府は「社会保障負担率は上がりません」と強調しますが、それはあくまで“全体として”の話です。現役世代の財布の中身は明らかに軽くなります。しかも、高齢者や子育て世帯への支援は手厚く、実際に働いて支えている層は、相変わらず「取りやすいところから取る」扱いです。
結局のところ、結婚もしておらず、子どももおらず、それでも真面目に働いて税金・保険料を納めている独身者は、ますます「都合のいい徴収対象」として搾取され続けるだけなのでしょうか。
国全体で少子化を克服するためには、誰もが納得できるような、もっとフェアで持続可能な制度が求められているはずです。少なくとも「子ども・子育て支援金」という包装では包みきれない痛みが、この制度にはあります。