古きと新しきが融合するレトロな町・松山市三津浜を歩く。

東京に行った後、福岡に帰る途中で立ち寄った四国・松山(寄り道?)。いつもは繁華街の大街道や道後温泉などに行っていたですが、今回はちょっとほかに行きたいところがあって伊予鉄道に乗って海の近くまでやってきました。

下車したのは三津(みつ)駅。レトロな洋風建築がかわいい駅舎です。三津浜地区は松山藩の外港として古くから栄えたこともあり、今も所々に古民家が残る地域です。最近では古民家をリノベーションして新しい店がオープンするなど、古きものと新しいものが融合したイノベーションが生まれる町となっています。

この古い蔵はコワーキングスペースとなっていて、ふらっと立ち寄って仕事ができる場所になっています。

旧鈴木邸は古民家暮らしが体験できる民泊施設になっているとともに、おはぎや抹茶を提供するカフェも併設されています。

レトロな古民家の中に並ぶ自転車。こんなシックな自転車屋は初めてみました。

こちらは猫雑貨店Kari Kari。キャットパークとして開放されている時間があって、今まさにその時間だったようですが、おっさん1人が猫と戯れにいくのもちょっとどうなんだと思ったので入るのはやめにしました。

ちょっと中をのぞいたら猫がこちらを向いていました。

町の中心部にあるかつて病院だった三角屋根が特徴的な洋風建築、濱田医院の中にもいくつかの店舗が入居しています。

これらのお店の入居を後押ししているのが、自身も濱田医院の中に入居する古民家バンクミツハマル。出店したい事業者と空いている古民家の仲を取り持つ事業を行っています。三津浜でこれだけの古民家が活用されている裏にはこういった人たちの存在があるのです。

濱田医院は調度品がレトロな建物にマッチしていて
古民家見学にも人気の場所。

多くの建物が建て替わっているものの、古い土塀を残す建物もまだ残り、かつて栄えた面影を残します。

特に「土塀の残る路地」と名付けられたこの界隈はなかなか味があります。下手に手入れされていないところに歴史を感じます。

国の登録有形文化財!

港の近くにある大正時代の銀行のような洋風建築は石崎汽船の元本社。石崎汽船は今も伊予鉄グループの海洋部門を担い、広島や呉と松山を結ぶスーパージェットを運航しています。

今は本社は松山観光港のある高浜に移っていますが、20年ほど前まで本社として使用していました。三津浜が松山の海上交通の重要な拠点として位置づけられていた証です。なお、三津浜港からは今も防予フェリーが山口県の柳井港までフェリーを運航しています。

海上交通の要衝として開けた三津浜は当然漁船も多く停泊しているのですが、

中でも目を引くのはこの渡し船。「三津の渡し」と呼ばれ、500年の歴史を誇ります。ここに橋を架けると漁船が停泊地に入れなくなるので今も渡し船が向かいの港山地区との間を結びます。松山市道の一部という扱いなので、運賃は無料なのもありがたいです。

壁画にも描かれる渡し船。

古きと新しきが融合する港町、三津浜。いかがだったでしょうか。

道後温泉本館は5年半の修復作業を終え営業を再開し、JR松山駅も新たに高架駅に生まれ変わりました。新たに生まれ側つつある松山の町の姿を楽しみつつ、少し郊外に出て三津浜の町も歩いて楽しんでもらいたいと思いました。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年6月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。