黒坂岳央です。
仕事や筋トレに励んでいるからか「あなたはやる気がすごく高い」と言われることがある。しかし、正直言って筆者は「やる気」という感情を脱サラして以降、一瞬たりと考えたことがない。
一部の人は心から好きなことだけをやってやる気満々なのかもしれない。だが、少なくとも自分はそうではないし、自分がよく知るビジネスマンや研究者も「やる気」なんて持っていないと思っている。
彼らは「やる気があるから頑張る」のではなく「必要だから頑張る」のだ。
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やる気は持続しない
成功の鍵はモチベーションの高さではなく、行動の習慣化に尽きる。やる気は行動の起点にはなり得るが、持続力はないのだ。
意識高い話を聞けば誰しも「よしやろう!」という気持ちにはなるし、自分も他者の感情に強く触発されることはある。だが、上述した通りやる気は持続しないので寝れば完全にリセットされる。
「結果を出すような優秀な人は、年単位でやる気が持続する」なんてことはない。彼らは端から「やる気」に頼ろうと思っていない。
彼らの真の強みとは「自分がやりたいこと」を一旦封印し、何がやりたいことで、何がやるべきことか?を見極めた上で、結果を出すのに必要なことを習慣化の技術を使って継続できることにある。
一言で言えば「結果を出す人間はやりたいことではなく、必要なことを優先して継続できるスキルを持っている」ということなのだ。
「好きを仕事にしましょう」は無益なアドバイス
SNSなどで「好きを仕事にしましょう」と言われる。だが、これほど現実感も再現性もない言葉はないだろう。
確かにワールドクラスのアスリートや超一流のビジネスマンなど、一部の人は「好きを仕事」にしている。だが、「好き」ほど才能そのものと言える要素はない。
たとえば「哲学を愛せ」と言われて「はい、わかりました!」となる人間はいない。好きでないものを表面的な言葉だけで好きになることは不可能である。
加えて、「好き」は適正という才能であると同時に、熱量でもある。ほとんどの人は人生を丸ごとベットして前のめりになれるような熱量は持ち合わせていない。
ほんのり「好き」ではあっても、その好きに対して自分の人生をチップに変えられるような人は例外なのだ。
さらに「好きを仕事に」などと言われずとも、情熱的な愛を持つものは他人から提案される前にとっくに数学なり哲学なり、特定の分野や仕事をすでに愛している。故にこれほど無意味なアドバイスはないのだ。
好きでなくても仕事はできる
世間的に「仕事が好き」という感覚は誤解されている。多くの人は「100%ピュアな好きという感情かつ才能を活用できる分野=仕事が好き」と誤解している。
しかし、世にあるあらゆる仕事には「好きな部分と好きでない部分」が混在しているのが普通だ。だから「仕事が好き」といっている人も100%ピュアな気持ちでそう言っているわけではなく、厳密には「好きが55%、億劫な気持ちが45%、トータルでは好きより」くらいの感覚なのだ。
もとい、人は仕事そのものの対象ではなく「勝てるゲーム」を好む。あまり興味がない競技でも勝ち続け、周囲から称賛されれば徐々にその対象を好きになる。
筆者は子ども二人に勉強を教えている。長男は英語好きではないが、ドンドン力がつけて、テストや試験で合格する経験を経て「英語は一番好きな科目ではないけど、友達からすごい!と言われるのは嬉しい」といっている。
つまり、多くの人にとっての仕事の本質とは、後天的に楽しさを引き出すゲームと言えるだろう。
運動、筋トレにやる気はいらない
そしてそれは毎日やっている筋トレと運動も同じである。正直、自分を含め体力づくりに励んでいる多くの人は好きでやっている人なんていないのではないだろう。酒のんでダラダラ過ごす方が脳からドーパミンが出るだろうし、少なくとも体は楽に決まっている。
だが、運動をしなければ可動域や体力が減少し、将来不健康になったり仕事や趣味、日常生活で大きなマイナスになってしまうことは確定的である。
何もしなければ100%やってくるネガティブな未来を迎えることになる。それなら、目先の少ししんどいことでも、必要だからやる方が、結果的に『気持ち』は楽になる。
そしてやる以外の選択肢がないなら、いい部分だけを見て自分を楽しませて頑張る。このくらいの感覚で取り組んでいる人が多いのではないかと思う。
筆者は家族旅行で宿泊先のホテルのジムで体を鍛えるが、どのジムも必ずと言っていいほど、朝イチから運動をする人がいる。彼らも心から楽しんでいるのではないだろう。「仕事や運動を頑張る人はやる気が違う」と考える人は認識が間違っている。彼らとてやりたくてやっているわけではないのだ。
◇
やる気はいらない。必要なのは必要性の見極めと習慣化だけである。必要なことを毎日続ければ、自然に継続でき、続ければどんな仕事や活動も熟練していく。熟練して結果が出れば興味がない対象でも楽しくなっていくのだ。人と差がつく最大の要因は、『やる気』ではなく『必要性』を起点にできるかどうか。その一点に尽きるのだ。
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