週末にお送りしている「今週のつぶやき」ではマネー関係の項目を一つ入れさせていただいていますが、それ以外の日に最近、マネーの話を振っていませんでした。理由は投資環境が不鮮明だったからです。ただ、ここに来てスロットマシーンの絵柄が揃い始めてきたようです。
lucky-photographer/iStock
1枚目は世界の落ち着きです。個人的にはイランとの問題はまだ終わったと思っていません。ただ、第1幕は少なくとも終了し、第2幕があるのかないのかは双方の外交的努力ないし対話と抑止力次第だと思っています。毎年うまくできているな、と思うのはこのような世界が注目する問題は6月の終わりごろには必ず一旦収束するようになっています。理由は誰でも夏休みを取りたいからです。つまり、世界が動くのは6月としわ寄せがくる9月と考えてよいでしょう。6月もいよいよ終わりに近づき、主たる国際会議も終わり、安堵の2か月のお膳立ては出来たようです。
2枚目はアメリカのドタバタが少し平静を取り戻してきたことと世の中が「トランプ朝令暮改慣れ」していること、トランプ氏発言の割引率を人々がそれなりに持てるようになったことがあります。私はトランプ発言は「半値八掛け二割引」つまり0.5x0.8x0.8=0.32でだいたい1/3ぐらいしか本気にしていません。特に「トランプ修飾語」である「美しい」「大成功に」「とてもうまくいっていて」といった独特の言い回しはトランプ氏の個人的期待感や自画自賛であり、その言葉が意味するところはほぼ皆無だとみています。それに夏になり、トランプ氏もそろそろゴルフ三昧できるフロリダの自邸でゆっくりしたい頃ではないかと思っています。これが世の中に平静をもたらしていると考えています。
3枚目は経済そのものです。ここに来てAI投資が再び活況となり、エヌビディアが新高値をつけていますが、日本でも半導体関係の企業の株価が一部でコンスタントな上昇を展開しています。特に半導体関連で全員参加型銘柄の一つ、レーザーテックが高値からほぼ1/4まで下げるという長い眠りから覚め、目覚ましい上昇ぶりを見せており、他にもファナックや東京エレクトロンなども4月頃から4-5割は上がっています。そしてほとんどノーマークだったソフトバンクGの株価もここに来て爆上げであり、今日、株主総会で孫氏が何か言いそうな気配を感じています。
スロットマシーンは3つの絵柄が揃えば勝ちですが、絵柄は3つ揃っており、私の見る限りここからひと月半、つまりお盆のころまではすっと株価は上昇していくとみています。また「選挙は株高」というアノマリーがありますが、7月20日頃に参議院選挙があるのでこれも追い風になるとみています。
更に言うとこれは定かではありませんが、急にアメリカで利下げ機運が出てきたことです。トランプ氏が吠えていることもありますが、FRB理事のウォラー氏やボウマン氏も利下げを唱えています。多分ですが、次期FRB議長の指名への動きが水面下で始まるにあたり政治的意図を含んでいるのだと思います。7月利下げ説もありますが、これは私が以前申し上げたように夏休み時期にインパクトある判断はしないので9月利下げ説が受け入れやすく、市場も既に90%の確率を見込んでいます。
ドル指数も引き続き弱含みです。4月24日の本ブログで指数値90が抵抗線で今はそこに向かって下げるように見えると述べています。ジワリとですが、今でもそこに向かっており、利下げが本格的となれば更なる下落は必至となります。その場合、資源と商品価格の上昇は起こりうると以前から延べさせて頂いています。原油はイラン停戦を受けて元の水準に戻しましたがここからは反発になるでしょう。理由は夏はガソリン需要が高まるし、アメリカ エネルギー省(EIA)発表の原油備蓄量は5月30日分から毎週事前予想を超える大幅マイナスとなっておりトランプ氏の掛け声とは真逆の原油需給バランスの悪化が見て取れます。
また銅先物は史上最高値追いのところに来ていますし、銀やウランの引き合いも強く、金相場は最高値圏からお休みしていますが、上昇のきっかけを探す様相となっています。
これら諸条件を見ると思った以上に強気相場の展開となりうる可能性があり、日経平均も4万円回復どころが42000円台の高値に照準を合わせてもよいと思います。
但し、くれぐれも秋にはしわ寄せが来やすいため、ポジションは中期ないし、小すくいを連発させてこまめに利確した方が良いかもしれません。投資は長期と言いますが、それはその時々の都合の良い発想であり、今は勢いがあるところに乗る順張りが正しいスタンスのように思えます。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年6月27日の記事より転載させていただきました。