きょうは共同通信の記事から取り上げます。
【小泉農相、EUの動きは「遺憾」 ウナギ「絶滅の恐れはない」強調】
【ブリュッセル共同】欧州連合(EU)は26日、食用のニホンウナギなどウナギ全種の国際取引を規制しなければ絶滅の恐れがあるとして、ワシントン条約への掲載提案に向けて調整を続けた。提案期限は27日。提案があれば、11~12月にウズベキスタンで開かれるワシントン条約の締約国会議で採決される。
日本は世界最大規模のウナギの消費国だが、多くは中国などからの輸入に頼る。規制が認められれば、輸出には貿易当局の許可が必要となり、手続きが増える。日本での流通に影響し、価格が上昇する可能性がある。
提案は、締約国会議で投票国の3分の2以上が賛成すれば承認される。日本は「ニホンウナギの資源量は十分」との立場だ。共同で資源管理する中国や韓国と連携して否決を目指す。
小泉進次郎農相は27日の閣議後記者会見で、ニホンウナギは「十分な資源量が確保されており、絶滅の恐れはない」と強調、EUの動きは「極めて遺憾だ」と述べた。
ワシントン条約は規制対象となる動植物を「付属書」に掲載する。
(2025/6/27 共同通信)
完全無農薬の野菜がどうたらこうたらポストして農水大臣がそれを言ってちゃだめだろと突っ込まれまくった小泉進次郞農水大臣ですが、またデタラメを垂れ流しています。
ニホンウナギは絶滅危惧種です。
国際自然保護連合(IUCN)がニホンウナギを絶滅危惧1B類に指定したのは2014年です。
そこから全く改善されておらず、絶滅危惧1B類の指定は変わりません。
環境省のレッドリストに記載されています。
小泉進次郞って環境大臣やってたんですが、彼が環境大臣になる前にはニホンウナギはレッドリスト入りしていました。
ではなんでこんな発言になるかというとですね、水産庁の姿勢にあります。
水産庁がきちんとした漁業資源管理を行わないからです。
水産庁が漁獲枠などを設定するわけですが、これがなんというか「取りまくれる」ようにするためなのか水産庁は下手をすると資源量よりも大きな漁獲枠を設定することもあります。
このため漁獲枠に対して漁獲量がかなり少ない数字になるのが日本の漁業資源管理(笑)の実態です。
取り尽くせる量より枠を大きく設定しとけばがんばれば稼げるだけ稼げるだろと。
そうして水産庁が捕りすぎ、乱獲にお墨付きを与えるわけです。
それに「漁獲枠」をオーバーしてもそのまま取り続けてもだいたい問題にされないで放置されているケースも少なくありません。
水産庁のガバガバな管理によって「魚を捕りすぎている」事にブレーキがかからないのです。
雑に枠を決めて実際の漁獲量については漁業者に丸投げ。
これでまともな資源管理などできようはずがありません。
北欧や北米、オセアニアなどでは厳格な管理が行われ乱獲、捕りすぎをさせないようにしています。
今回のニホンウナギの話に戻ります。
水産庁は漁業者の目先の、短期的な利益を代弁することしかしません。
このため魚は勝手に増えるという立場を取ることできちんとした水産資源の管理を行わないのです。
環境省に対して農水省(水産庁)が圧を掛けているので環境省のレッドリストの魚類の項目には淡水、汽水域のものしかリストが作られないようになっている。
そう指摘している専門家もいます。
今回の小泉大臣の発言は官僚に説明されたことをそのまま言っただけなのでしょう。
その結果ニホンウナギをレッドリストに入れている環境省の見解とまるで違うものになっています。
一つの物について異なる意見がある。
それは否定しません。
見方によって評価が変わるのはどこにでもあることだからです。
ですが、明らかに資源量が減っており、シラスウナギが高値で売れるってことで暴力団が密漁をして資金源にまでしてしまうような状態になっています。
それを今後も乱獲を放置する事を正当化するために「十分な資源量が確保されており、絶滅の恐れはない」などという水産庁の見解は異常です。
水産庁からも当然のように広域、全国レベルの漁業組合にはしっかり天下りしています。
当然、そうした組合は自分達が取りまくれる量よりも漁獲枠を大きく設定してもらいたいと考えるでしょう。
また後輩官僚が先輩達が作った天下り枠を減らそうものなら先輩達のネットワークによって自分がいじめられ、自分だけ天下りという美味しい思いができなくされる、肩叩きされて早期退官させられる。
そう焦る人も出るでしょう。
こうした事情もあってか、過去にクロマグロの資源保護の国際会議の場で水産庁が「資源量は増えているから問題無い」と主張して批判されています。
今回の小泉大臣の発言がどうしてそうなったのか?
日本の漁業資源減少が問題になっているのに
「そんなことより先輩キャリアに媚びておく方が大切」
そんな日本の霞ヶ関の天下り文化が背景にあるのではないか?
そういう点での指摘をする社が一社くらい有っても良いのではないかと思いますが、日本のマスゴミの誇る記者クラブ制度は
「対象の省庁と癒着する事で記事を貰う」
これを主眼としている枠組みであるため、不都合な情報を国民に知られないようにしていると言えます。
今回の小泉大臣のニホンウナギに対する
「十分な資源量が確保されており、絶滅の恐れはない」
ほとんどの人が聞いた瞬間に耳を疑うこの発言がなぜ出てくるのか?
この重要な部分が指摘されない、国民に知られないようにされている事は大きな問題でしょう。
編集部より:この記事は茶請け氏のブログ「パチンコ屋の倒産を応援するブログ」2025年6月29日のエントリーより転載させていただきました。