終末期医療と延命医療の違いについて

参政党が参院選の公約に「終末期の延命措置医療費の全額自己負担化」を掲げたことの真意を問われ、同党の神谷宗幣代表が説明をした内容を取り上げた朝日新聞の記事が話題だ。

参政公約「終末期延命措置は全額自己負担」 神谷氏「啓発する思い」:朝日新聞
 参政党の神谷宗幣代表は8日、参院選の公約に「終末期の延命措置医療費の全額自己負担化」を掲げたことの真意を問われ、「みとられる時に蓄えもしないと大変だと啓発する思いで入れた」と語った。遊説先の盛岡市で…

生命の尊厳に関わる厳粛な問題であると同時に、危機的状況にある日本の財政悪化の本丸に関わる問題である。議論が喚起されることや、そこで異なる意見が表明されることは、当然かつ必要なことであると思われる。

ただ朝日新聞が、「間違い」としか言いようのない見出しの記事をSNS等で配信したことから、概念のところから混乱が広がり、非生産的な言い争いが繰り広げられて状況になっていのは、非常に残念である。

このようにして、重大な論点が、中身のない政争以前の混乱を助長するネタとしてだけ扱われていく。日本全体にとって不幸である。大手報道機関の社会的責任を問わずにはいられない。

争点になっているのは、特に医療機関の介入を必要としている状況の高齢者の「延命治療」のことだと思われる。これは「終末期医療」とは全く違う。というか、むしろ真逆である。

現行制度では、超高齢者の「延命治療」にも多額の補填がなされる。これに対して、「延命治療」が自費になり、むしろ死を迎えるための準備である「終末期医療」には補填がなされる場合とでは、効果が、おそらく全く逆になる。現行制度は、延命治療を通じた医療依存期間の長期化に誘因が働き、後者では延命治療なき寿命の短縮化に誘因が働く。

私個人は、「延命治療」に関心が乏しい。もちろん、これは個人の死生観の問題ではある。ただ、そういう人間もいる。しかし、それにしても、あまりにも見苦しい死に方は、本人の生存中の苦痛のみならず、周囲の負担感さえも、過剰に増しかねず、望ましいこととは思えない。人間として尊厳をもって死ぬための「終末期医療」は、「延命治療」が不要である人にとってこそ、必要である。

以下、「延命治療」と「終末期治療」の違いを、Chat-GPTにまとめてもらった。あわせて関連する頻出概念である「緩和ケア」についても、まとめてもらった。

 1. 延命治療(Life-Prolonging Treatment)

 定義

生命を可能な限り長く維持することを目的とする治療。病気の根本的な治癒が見込めない場合でも、生存期間を延ばすことを目指します。

 主な内容

  • 人工呼吸器の装着
  • 心肺蘇生(CPR)
  • 人工栄養(胃ろう、点滴)
  • 透析
  • 抗がん剤治療(末期でも延命目的で継続する場合)

 特徴

  • 苦痛やQOL(生活の質)よりも「生存の継続」を最優先。
  • 意識がない状態でも機械によって生命を維持することがある。
  • 「本人の意思に反して長く生かす」形になることが社会的な問題になることも。

 2. 終末期治療(Terminal Care)

 定義

回復が見込めず、死が迫っている患者(一般に余命6か月以内)に対し、延命よりも苦痛や不安の軽減、尊厳ある死を重視して行う治療やケア。

 主な内容

  • 痛みや呼吸苦への薬物的対処(モルヒネなど)
  • 意識レベルや精神的苦痛への対応
  • 家族へのサポート
  • 食事・排泄・清潔保持などの日常支援

 特徴

  • 延命目的の積極的治療は行わない。
  • 死の過程を自然に、苦痛なく迎えることを支援する。
  • 「治療の終了」ではなく、「治療の方向性の転換」。

 3. 緩和ケア(Palliative Care)

 定義

病気の進行期~終末期にかけて、患者と家族の苦痛を和らげることを目的とするケア。治療と並行して行うこともあれば、治療をやめてからのケアとしても実施されます。

 主な内容

  • 身体的苦痛(痛み、吐き気、呼吸困難など)の緩和
  • 精神的・社会的・スピリチュアルな支援
  • 家族ケアや在宅支援
  • がんや難病、心不全、認知症などが対象

 特徴

  • 病名や病期にかかわらず、早期から導入できる
  • 延命治療と併用も可能(たとえばがん治療中に緩和ケア併用)。
  • 終末期だけに限定されるわけではない。

 まとめ:三者の違い

分類 主目的 期間・対象 特徴
延命治療 生命の延長 どの段階でも実施可能 機械的介入、QOLよりも生存を優先
終末期治療 尊厳ある死、苦痛の緩和 余命6か月以内、治癒不能 延命は目的とせず、症状緩和に集中
緩和ケア 苦痛の軽減とQOL向上 病気の早期~終末期まで 早期から導入可能。精神的・家族支援も含む

Pixelci/iStock

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