現在、日本では学習塾代の上昇が続いており、2024年まで13年連続で値上がりしています。背景には物価高や人件費の上昇に加え、難関校を目指す高所得層の積極的な教育投資があります。高校授業料の無償化といった公的支援の拡充が皮肉にも塾代の高騰を促進し、教育格差を広げる要因となっています。
高所得層は、無償化で浮いた教育費を塾に投じ、年収1200万円弱の世帯では補習教育に年間9.5万円を支出しています。一方、低中所得層では、物価高や食費のインフレで塾代に回す余裕がなく、塾への支出は減少傾向にあります。
このような中、学習塾業界の二極化が進み、難関校合格実績があり高価格帯の授業を提供できる大手塾に人気が集中する一方で、地域密着型の小規模塾は経営難に直面しています。2024年の塾の倒産件数は過去最多の53件となり、自主的な廃業を含めると248事業者が市場から撤退しました。倒産の中には中堅塾や個別指導の大手も含まれており、負債総額は前年比9倍の117億円超に達しています。
さらに、首都圏と地方の塾代の格差も広がっており、都市部では中学受験の影響もあり、小学生でも月4〜10万円程度の支出が一般的です。家計において、塾代が住宅ローンを超えるケースもあり、保護者は赤字を覚悟で教育費を捻出しています。
こうした状況を受け、専門家は公教育の質の向上が不可欠であると指摘しています。教育無償化だけでは不十分で、塾に依存せずに済むような学力保障を学校で実現する必要がありますが、公教育はそれ以前の段階に留まっています。
教育格差と家計負担の深刻化を背景に、政府や社会は、教育の機会均等を実現するための抜本的な制度見直しと支援策の強化を急ぐ必要があります。
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