石破首相、ビル・ゲイツ氏と会談し途上国ワクチン支援に810億円表明

石破首相は19日、首相官邸で米マイクロソフト創業者で慈善団体「ゲイツ財団」を率いるビル・ゲイツ氏と約30分間会談しました。両者は、国境を越えて人々の健康を守る「グローバルヘルス」や、途上国の子どもへのワクチン普及を進める官民連携の枠組み「Gaviワクチンアライアンス」の活動などについて意見を交わしました。

その中で石破首相は、Gaviに対して今後5年間で総額5億5000万ドル(日本円で約810億円)を支援する方針を伝えました。この表明は、翌20日から横浜市で開幕する第9回アフリカ開発会議(TICAD9)でも改めて示される予定です。ゲイツ氏は、自身の財団を通じてワクチン普及や感染症対策に取り組んでおり、2045年までにほぼすべての資産を国際支援に投じる考えを表明しています。

ビル・ゲイツ氏と石破首相 首相官邸HPより

一方で、この巨額支援をめぐって国内では賛否が分かれました。参政党の神谷宗幣代表は「アメリカが資金を出さなくなった分、日本が負担しているのではないか」と批判し、「日本の子どもの貧困対策に使うべきだ」と主張しました。

しかし、コミュニティノートが示すように、神谷代表が指摘した「810億円の支援」は、日本政府による低所得国向け感染症予防のODAであり、国内の子どもの貧困対策と直接置き換えられるものではありません。また「マイクロソフトの資金でやれ」という発言についても、ゲイツ氏はすでに経営に関与しておらず、企業資金を自由に使える立場ではありません。

しかし、SNS上でも「日本は世界のATMではない」といった不満の声が相次ぎ、「世界のATM」という言葉がトレンド入りしてしまいました。

その一方で、実業家の堀江貴文氏は「周辺国の健康や発展を支えることは中長期的に日本の利益になる」と指摘し、ゲイツ財団など他の資金源もあることから敵視すべきではないとの見方を示しています。

今回の会談と支援表明は、日本の国際貢献の姿勢を示すものですが、同時に「国内優先か国際協力か」という議論を改めて浮き彫りにしました。