参院選前の話ですが、上野千鶴子センセーがまたよせばいいのに現役世代の神経を逆なでするようなことをいって炎上されていましたね。
「手取りを増やす=我々高齢者の社会保障削減なのでもってのほかである。お前ら現役世代は(お前らだけで)平等に貧しくなれ」
今回の選挙では与党に加え既存の左派も伸び悩みが目立ち、特に共産党なんて惨敗と言っていい結果に終わってますけど、筆者は上野センセーのような一部高齢者のスタンスが少なからず影響している気がしますね。
なぜ、氏はいつも一言多いんでしょうか。
実は、余計な言動で敵を作ってしまう人というのは、その言動こそが余計でもなんでもなく本質だからだというのが筆者の見方です。
翻って見ると、社会はそうした本音をかざす人たちと、それを覆い隠そうとする建前であふれていたりします。
いい機会なので、今回は社会にうごめく本音と建前の話を紐解いていきましょう。
上野センセーが現役世代に突撃する理由
例の「若い世代は平等に貧しくなれ」発言もそうですけど、わざわざ活字として残す形で言う必要性がないんですよね。
言えば「自分の既得権はどうなんだ!」という反論が来るのはわかりきっているわけで。
そういう意味では、氏の暴走発言にもっとも頭を抱えているのは、既存の左派政党でしょう。
現役世代の生活が苦しいのは社会保険料が高騰しているためであり、高齢者の社会保障給付が伸び続けていることが原因なのは明らかです。
【参考リンク】社会保障費、2040年度に190兆円 介護の負担重く
ただ、それは高齢者を支持基盤とする左派にとっては口が裂けても言えない事実なので、彼らは懸命に「悪いのは政府と大企業です!」と矛先をそらそうと躍起になっています。
ちなみに共産党の掲げる「法人税引き上げ、輸出還付金廃止、高齢者の医療費自己負担引き下げ」といった政策は、すべてサラリーマンの賃金低下につながる政策ですね。
共産党≠労働者政党
共産党=シルバー政党
というのが(自民が勝とうが負けようが)選挙のたびに彼ら共産党が議席を減らす理由です。高齢者はどんどん三途の川を渡ってますから。
ちなみに、れいわは以前は「インフレになるまで政府はいくらでも借金できる」という新路線で既存左派との違いをアピールしていましたが、本当にインフレになってからは共産党と同じ「大企業、富裕層増税路線」に転向し、シルバー(+無職)路線に舵を切ってますね。
とにかくそういう状況で(特に選挙前の微妙な時期に)「現役の手取りを増やす=社会保障の削減なので大反対よ!」なんて叫ばれたら、もう彼ら左派の日ごろの苦労が水の泡なわけですよ。
「センセイ、そこは嘘でもいいから「手取りを増やすの賛成。若者と高齢者は連帯しよう」くらい言ってくださいよ。我々も消費税減税や基礎控除の引き上げでお茶を濁そうと頑張ってあげてるんですから」と思ってるはず(苦笑)
でも、センセーは決して黙りはしません。なぜか。
それは、現役世代の神経を逆なですることこそが、本人の目的だからです。
筆者の経験上、こういう場面で憎悪をむき出しにして敵を作ってしまう人というのは、えてしてその感情そのものが自身のモチベーションのコアであるものなんです。
氏の中にあるモチベーションは、けして男女平等な社会を作ることでも個の自立が保証された制度を作ることでもなく、結婚して子育てしているだけの普通の世帯への憎悪であり、それに対し勝利宣言することこそが目的だというのが筆者の見方ですね。
選挙前のセンシティブな時期なのに、ではなく、(相手にダメージが通りやすい)センシティブな時期だからこそ突撃かますわけですよ。
炎上すればするほど「お。効いてる効いてる(笑)」と愉悦に浸れるんです。別に共産党が惨敗しようがどうでもいいと思ってるはず。最初から本気で社会をどうにかしたいなんて思っちゃいないわけで。
フォローしておくと、なんだかんだ言っても筆者自身は上野センセーのことは嫌いじゃないですね。むしろ、後述するようにこういう人の存在が現役世代にとっては救いになっている面が多々あるように思います。
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以降、
・世の中には憎悪で動く人たちが少なくない
・建前の裏に隠れる人たちの本音
Q:「ほどほどの仕事+投資という生き方はあり?」
→A:「ひょっとしたら、今後は世界的にそれが主流になるかもしれません」
Q:「仕事についていけない日々がつらいです」
→A:「一度カウンセリングを受けるべきでしょう」
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