愛知県豊明市が「仕事や勉強以外でスマートフォンやゲーム機を利用するのは1日2時間以内」という条例案を市議会に提出するとの報道がありました。
小学生は21時まで、中高生は22時までと“利用時間帯の目安”まで規定されています。罰則はないとされていますが、可決すれば10月に施行予定です。
規制の名を借りた“生活指導”
「罰則がないから問題ない」という擁護もあるでしょう。しかし、条例という形で「スマホは1日2時間まで」と市が宣言してしまえば、学校や地域では“生活指導”が始まるのは目に見えています。
先生や大人が「条例で決まっているから」と言い出せば、子どもたちは圧力を受けざるを得ません。実質的な強制力が働いてしまうのです。
曖昧すぎる「仕事や勉強以外」
そもそも「仕事や勉強以外」という線引き自体がナンセンスです。
歴史の動画を見るのは勉強か娯楽か?プログラミングのゲームはどちらに分類されるのか?AIで作文を練習するのは?——行政が恣意的に線引きを行うこと自体が危険です。
しかも驚くべきことに、対象には「パソコン」まで含まれるとのこと。
子どもがPCで創作活動をしたり、自主的に学んだりする時間まで制限の対象になるとすれば、もはや本末転倒です。
無駄なパンフレット、教材が量産される未来
さらに見えてくるのは「周知啓発」と称した無駄遣いです。
誰もろくに読まないようなパンフレットや教材が、立派な予算をかけて量産される——これは行政あるあるです。
「スマホは1日2時間まで」と印刷された冊子を配布して、子どもや保護者の生活が良くなるのでしょうか?むしろ“予算の無駄”としか言いようがありません。
必要なのは規制ではなくリテラシー教育
本当に必要なのは、行政が子どもや市民を縛ることではありません。
- スマホやネットのリスクを正しく理解し、自己管理できるリテラシー教育
- 保護者・学校・子どもが一緒に使い方を考える環境づくり
こそが政治・行政の役割です。テクノロジーを「悪」と決めつけて時間で縛る発想は、時代錯誤の一言に尽きます。
「スマホは2時間まで」などと子どもの未来を奪うような条例をつくるのではなく、むしろその可能性をどう伸ばすかを考えるべきです。
行政がナンセンスな規制と無駄遣いに走ることには、強く反対します。
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編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2025年8月21日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。