フジテレビ、港前社長らに50億円の巨額損害賠償請求

フジ・メディア・ホールディングスは8月28日、フジテレビジョンの港浩一前社長と大多亮元専務を相手取り、50億円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したと発表しました。

この問題の発端は、2023年に起きた元タレントの中居正広氏とフジテレビ元女性アナウンサーとの人権問題です。中居氏と元アナウンサーの間でトラブルが生じ、それが人権侵害につながる事案として社内外で大きく取り上げられました。広告主によるCMの放送差し止めなどの影響も重なり、フジテレビは2025年6月末までに約453億円もの損害を被ったとされています。

フジテレビHPより

フジテレビは、港氏と大多氏が事案の報告を受けながらも、事実関係の十分な調査や適切な対策を講じず、経営トップとしての善管注意義務を怠ったと判断しました。そのため、損害額の一部として50億円の賠償を求めています。今後さらに損害が拡大すれば、請求額を増やす可能性もあります。

港氏は2024年1月に経営混乱の責任を取って辞任し、大多氏も関西テレビの社長に就任した後、2025年4月に辞任しました。第三者委員会の調査報告書では、両氏の判断について「極めて思慮の浅い経営判断の誤り」と厳しく指摘されています。

一方、中居氏自身への損害賠償請求については現時点では見送られています。フジテレビはまず内部の経営陣の責任追及を優先しており、元アナウンサーの保護を考慮すれば、中居氏への訴訟は難しいとされています。ただし、今後の裁判の展開次第では可能性が完全に否定されるわけではありません。

中居正広氏への損害賠償請求は、元女性アナ保護の観点から難しいものの、内部責任追及を経て訴訟の可能性は残されているとの見方もあります。

 

 

今回の一連の問題では、フジテレビの長年のコンプライアンス意識の低さが企業風土にあるとして批判されました。

日枝久元相談役が訴訟対象外となったのは、弁護士調査で直接的関与がないと判断されたためで、「院政」のイメージはあっても法律上の責任は問えないとされています。

 

今回の訴訟について、個人で数十億円を負担するのは困難で、破産に至る可能性もあります。また、両氏がどの程度争う姿勢を見せるかによって、訴訟は長期化の見込みもあります。