2024年度の医療費は48兆円に達し、前年度比1.5%増で4年連続の過去最高となりました。
団塊世代の高齢化により、75歳以上の医療費は19.6兆円で初めて全体の4割を超え、1人当たりでも97万4000円と75歳未満の約3.8倍に上りました。新型コロナ関連の医療費は減少しましたが、医療の高度化や薬剤費の上昇が依然として総額を押し上げています。
一方で、この急増する医療費をめぐっては制度への厳しい批判が強まっています。
現役世代が高額の保険料を負担する一方で、高齢世代が恩恵を受け続ける構造は大きな不公平を生んでいます。
さらに、保険による大幅な負担軽減が過剰な受診や不必要な医療消費を生み、資源配分も著しく歪めています。そのため本来消費すべき分野に支出が回っていません。
厚労省や財務省にはこうした現状を国民に明確に示し、改革の必要性を共有する責務があります。しかし、政治は高齢者票を前に抜本的な対応を避ける傾向にあり、その結果、保険料を支える若年・現役世代の不満が高まっています。
医療費の増加は今後も避けられない状況であり、制度改革や負担の在り方を本格的に議論せざるを得ない段階に入っています。