石破執行部の怪:進退なら就任時から預けている

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9月2日の自民党両院議員総会では、事前に辞任の意向があるとされていた森山幹事長が、参院選での自民党大敗の責任を取って幹事長を退任する旨を表明した。ところが、終わってみれば森山氏はその「進退」を石破総裁に「預ける」ということになった。

その総裁は「同志を多く失ったのは私の責任だ。心から深くお詫び申し上げます」「そして、少数与党であります・・『石破らしさ』というものを失ってしまった」「地位に恋々とするものではない。責任から逃れず、しかるべき時にきちんとした決断をする」などとしたが、「しかるべき時期」が「いつ」であるかは述べず仕舞いだ。

鈴木総務会長、小野寺政調会長、木原選対委員長も辞任を表明したとされるが、結局のところ自民党四役は、その役職を続けるか否かの「進退」を、いつ辞めるか表明しない石破氏、「同志の多くを失った責任」を痛感し「地位に恋々と」しない総裁、に「預ける」という訳である。

では辞任を表明した4人に訊ねるが、石破総裁が慰留した場合には党四役を継続するというのか。こんな茶番を続けるから自民党が壊れてゆくのである。政治家に限らずどんな組織であろうと、あるポストを委嘱され、それを受けるということ自体「進退」を組織のトップに「預ける」ことを意味する。

衆院選、都議選、参院選の何れでも、自ら設定した極めて低い勝敗ラインすら大きく下回る大敗を喫した総裁が、多くの同志を失った責任を痛感し、地位に恋々としないと述べたなら、総裁に進退を預けている側近たる党四役も責任を取って、役を退くのが政治の常道であり、人の道でもある。

言葉と裏腹に総裁が地位にしがみつくなら、それを諫めるのも党四役という要路の務めである。政治家は須らく有権者の付託を受けた一国一城の主。事ここに至れば、「進退を預ける」と「逃げる」のではなく、選挙大敗の責任を要路にある一国一城の主としてどう取るのかが問われている。