石破茂首相は7日の記者会見で自民党総裁を辞任し、後任を選ぶ総裁選には出馬しない考えを明らかにしました。これに先立ち、毎日新聞は7月23日と24日に「石破首相、退陣へ」と断定的に報じましたが、その後首相が続投を表明したため、「事実と違うのではないか」という批判が相次ぎました。同紙は説明記事を配信しましたが、誤報を認めることなく「取材の積み重ね」を強調し、結果的に責任回避の言い訳に終始しているように映ります。
参考リンク:「首相、退陣へ」報道 説明します 毎日新聞 2025年9月7日
記事では、参院選敗北を受け首相が8月末までに退陣の意向を周辺に伝えたとしていますが、その後の党内日程や外交事情により流動的になったと説明しました。しかし、状況の変化を理由に「退陣へ」と見出しで断定したのは新聞社自身の判断であり、それを「誤解を与えた」とごまかす姿勢は不誠実です。
毎日新聞7月24日の「誤報」
さらに、首相が「国政の停滞を避ける」と続投を表明した背景には日米関税交渉がありましたが、それが基本合意に達したからといって「退陣決定」と短絡するのは拙速です。断片的な発言を拡大解釈して「退陣確定」としたのは新聞社の軽率な判断であり、ジャーナリズム本来の慎重さが欠けています。毎日新聞が「複数の幹部が語った」と主張しても、裏付けの不十分な断定報道を正当化する方便に過ぎません。
その後首相は一貫して報道を否定し、辞任を口にすれば交渉が立ち行かないと説明しましたが、毎日新聞は「想定していた」と自己正当化を続けました。これは潔い反省ではなく、「我々は間違っていない」と強弁しているにすぎません。結局のところ、「より丁寧な報道に努める」との締めくくりも曖昧で、読者に誤報を与えたことへの具体的な反省が示されていません。
今回の辞任会見の速報では、毎日新聞は「進退を巡り記者会見」と慎重な表現を使いましたが、これは前回の誤報を踏まえた防衛的な対応にすぎません。「どうせまた誤報だろう」と見られてしまうのは当然であり、読者の信頼を失っている証左です。実際に「このままでは読者が離れる」との声も広がっており、毎日新聞の報道姿勢は深刻な疑念を招いています。
読売や毎日など複数紙が一斉に「辞任へ」と報じたことは、新聞全体への不信感を強めました。石破首相を追い落としたい政治家からの意図的な情報を鵜呑みにしたと疑われても仕方がなく、結果的に石破首相自身が「誤報だ」と反発して辞任を否定し続ける一因になったとも見られます。
この一連の経緯は、政治報道の危うさと裏側の生々しさを浮き彫りにすると同時に、毎日新聞を含む大手紙の報道姿勢と信頼性を根底から問い直す事態となっています。