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本書の著者、松谷さんは娘(15歳)に聞かれた。
「ママ、なんでパパと結婚したの?」
松谷さんは即答した。
「この人の子どもを産みたいと思ったから」
娘は「え、それだけ?」って顔してた。そう、それだけ。学歴? 年収? 家柄? そんなもん、どうでもよかった。実は3度目の結婚なんだけどね。
「母と娘の関係を変える魔法の言葉術」(松谷英子 著)WAVE出版
男女平等? いや、そもそも別の生き物でしょ
最近やたらと「ジェンダーレス」だの「男女の違いなんてない」だの言うけど、ちょっと待てよ、と思う。
赤ちゃんを産めるのは女だけだ。これ、差別じゃなくて事実。生物学的な役割が違う。ホモサピエンスとして、オスとメスは違う。当たり前だ。
でもね、これをネガティブに捉える必要はない。むしろ逆。違うからこそ、補い合える。違うからこそ、美しい。
「男女はわかり合える」なんて幻想は捨てた方がいい。わかり合えないから、寄り添うんだ。完璧に理解できないから、想像力を働かせる。そこに愛が生まれる。
……って、3回も離婚してる私が言うのもなんだけど。いや、だからこそ言えるのか。
1回目と2回目の結婚は、親の期待に応えようとした結果だった。
「いい大学出てる人と」「安定した収入のある人と」「家柄の釣り合う人と」
母親は呪文のようにそう言い続けた。で、その通りにした。結果? 2度の離婚。
高級車があっても、別荘があっても、心は空っぽだった。朝起きて、隣に寝てる人の顔を見て「あ、この人と一生過ごすのか」って思った瞬間の絶望感。あれはキツい。
男を立てる? それは戦略だ
「人前では男を立てなさい」
これも娘に言った。古臭い? いや、違う。これは愛情であり、戦略だ。
男のプライドなんて、ガラス細工みたいに脆い。人前で恥をかかされたら、一生根に持つ。だから、助言は2人きりの時にする。人前では立てる。
これ、媚びてるんじゃない。賢い女の生存戦略。男を手のひらで転がす、なんて言うと悪く聞こえるけど、要は「相手を気持ちよくさせながら、自分の望む方向に導く」ってこと。
……あ、これ夫に読まれたらマズいか。まぁいいや。
中学生になれば、異性を意識する。当たり前だ。ホルモンがそうさせる。
で、現実問題として、中学生でも妊娠する可能性がある。生理が始まってる女の子も多いし、性欲は年中無休だ。
だから娘には包み隠さず話してる。「あなたの体は、もう赤ちゃんを産める体なのよ」って。脅しじゃない。事実を伝えてるだけ。
その上で「だからこそ、『この人の子どもなら産んでもいい』と思える人を選びなさい」と。
男と女の、美しい非対称性
男女は平等であるべきだ。機会も、権利も、尊厳も。でも、「同じ」である必要はない。
女は命を宿し、産む。男にはできない。 男は物理的に強い(ことが多い)。女は精神的に強い(ことが多い)。男は単純。女は複雑。男は忘れる。女は忘れない(特に恨みは)。
この違いを認めた上で、互いを尊重し、補い合う。それが本当の意味での男女平等じゃないか?
男と女は、わかり合えない。でも、だからこそ一緒にいる意味がある。
完璧に理解できる相手なんて、つまらない。謎があるから、飽きない。違うから、発見がある。
娘にはもっと早く気づいてほしい。だから、嘘も隠し事もせず、全部話した。
「ママ、重い」って言われた。
でも、いいんだ。いつか、娘が「この人の子どもを産みたい」って思える人に出逢った時、私の失敗が少しでも役に立てば。
あ、息子(18歳)には何て言おう。「女を泣かせたら、母さんが許さない」かな。
いや、それじゃマザコン製造機だな。
難しい。でも、それが親ってもんだ。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)








