イスラエル、攻勢さらに強めガザ市民の全面退避を通告:停戦仲介国カタールも攻撃

イスラエルは9日、ガザ地区最大の都市ガザ市を制圧する方針を示し、約100万人の住民に南部アルマワシ地区への退避を命じました。退避を妨害する者は通報するよう求め、ネタニヤフ首相も「ガザを出よ」と警告し、攻勢を一段と強める姿勢を示しました。

イスラエルはガザ市をハマスの最後の拠点とみなし、過去2日間で高層ビルを集中攻撃しました。「武器を置くか全滅か」と迫り、人質解放を要求しています。しかし、大規模な退避は混乱を招き、多くの住民が避難できず市内にとどまっています。

こうした動きに対して、国際社会や人権団体は「人道危機を悪化させる」と強く批判しています。欧州諸国も市民犠牲の拡大を懸念しています。ネタニヤフ首相は「テロとの戦いを強化する」と表明しました。

ネタニヤフ首相インスタグラムより

イスラエル軍はカタールの首都ドーハでハマス幹部を狙った攻撃を行いましたが、停戦交渉団トップのハイヤ氏は無事でしたが、ハイヤ氏の息子を含む関係者5人とカタール治安当局者1人が死亡しました。ネタニヤフ首相は「エルサレムでの銃撃への報復」と主張しましたが、攻撃は事前に計画されていたとの報道もあります。

アメリカのトランプ大統領は「決定はネタニヤフ首相によるもの」と述べ、ホワイトハウスも事前通知があったと明らかにしました。ただし「カタールの主権侵害は目標達成に役立たない」と懸念を示しつつ、「ハマス排除は価値ある目標」とも表明しました。

国連のグテーレス事務総長やイギリスのスターマー首相、フランスのマクロン大統領は、カタールの停戦仲介を評価しつつ「主権侵害」としてイスラエルを非難しました。サウジアラビアやエジプトも強く反発しています。

今回の攻撃は、イスラエルの軍事行動がガザにとどまらず、中東全体に広がっていることを示しています。