ネパール、SNS規制から政権崩壊へ:カルキ氏が暫定首相に就任

ネパールでは今月初め、政府が一部のSNSを禁止したことをきっかけに、若者を中心とした大規模な抗議活動が各地で始まりました。

抗議はやがて政治家の腐敗や縁故主義、雇用不足への不満に広がり、8日から9日にかけて首都カトマンズなどで暴徒化。国会議事堂や政府庁舎への放火が相次ぎ、72人以上が死亡、数千人が負傷し、刑務所から1万5千人超が脱走する事態となりました。

炎上するネパール政府・宮殿シンハ・ダルバール

背景には、政治家やその子供たちが富と就労機会を独占する「縁故主義」に対する批判があり、Z世代にあたる若年層が中心となって不公平への怒りを爆発させたと言われています。オリ首相は三度目の政権運営を続けていましたが、抗議の拡大に対応できず、9日に辞任しました。

その後、軍司令官の仲介で抗議指導者とポーデル大統領が協議し、12日に下院を解散し来年3月5日の総選挙実施を決定しました。そして、反汚職の姿勢で知られる元最高裁長官のスシラ・カルキ氏(73)が暫定首相に就任し、ネパール初の女性首相となりました。カルキ氏は数日以内に組閣を終え、治安回復と国政正常化、総選挙の準備にあたる方針です。

15日には暫定政権の財務相や内相など主要閣僚3人が就任し、市民からは「カルキ氏は抗議活動の参加者の側に立ってきた。改革を期待したい」といった声が上がっています。若者が求めた汚職根絶や格差是正に向け、改革派や反汚職の姿勢を掲げる人物が登用されたと報じられています。