出口里佐です。
東京の残暑を抜け出し、母を訪ねて2カ月ぶりの青森へ。

三内丸山遺跡、ピクニック広場(9月12日)
青森空港に降り立った瞬間、草の香りを運ぶ涼やかな風。季節がひと足早く移ろっているのを感じました。観光客もほどよい数で、タクシーの運転手さんいわく「青森は通のインバウンド客が訪れるところ」なのだそう。
今回は、食と文化をゆったり楽しむ2日間でした。
弘前「オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ」で出会う、青森の恵みとイタリアンの魔法

弘前、オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノの入り口。
初日の夜は、青森駅から奥羽本線で約45分で弘前駅、さらにタクシーで10分。イタリアンの名店「オステリア・エノテカ・ダ・サスィーノ」へ。
青森県産の肉や魚、自家菜園の野菜やハーブを使った料理に、サスィーノブランドのワインが寄り添います。ワインが飲めなくても、年に数回、できれば季節ごとに通いたくなる、私にとって特別なお店です。

メバルのタルタル。
十三湖産メバルのタルタル
ディルやイタリアンパセリの香りに、レモンゼストの酸味。牛コンソメジュレがメバルの旨味を引き立て、ひと口ごとに新鮮な驚き。

フォアグラとリンゴのピュレ。バターの風味のブリオッシュとともに。
フォアグラと青森リンゴの前菜
トーストしたブリオッシュにフォアグラ、リンゴのピュレ、赤玉ねぎのピクルスを添えた王道の一皿。ロゼのノンアルコールスパークリングがぴったり。

金木町の馬肉の炭火焼。香ばしく、嚙むほどに旨味を感じます。
金木町産馬肉の炭火焼き
5年続く定番、炭火の香りと旨味が豊か。黒茄子のパウダーと紫色のシャドークイーンが、深みのある味わいとともに美しい色彩を添えていました。

弘前の桃のコンポートなどのデザート。
弘前の桃のデザート
桃のコンポートとジェラート、ミントとレモングラスのグラニテ。名残りの夏をそっと閉じ込めたような優しい甘さ。
素材の力をまっすぐに伝えながら、想像を超える組み合わせを織り込む──そのセンスに、いつ訪れても心がときめきます。
夜の余韻を楽しむ「2WAY」
旅先のご褒美、ケーキとほうじ茶の深呼吸

2WAYの奥にある、緑のグラデーションの本棚を見るとなんだか、ホッとします。
青森駅に戻ったのはまだ22時前。久しぶりに、神楽坂の人気パン店「パン・デ・フィロゾフ」が監修するカフェ「2WAY」へ。
デザイナーの森田恭通さんが手がけたグリーンのライブラリー風の空間は、落ち着いた灯りが心地よく、旅の夜をやわらかく包んでくれます。

2WAYの獄きみ丸パン。美味し過ぎます。期間限定なので、お早めに。
お通しは、ガーリックと青森名産「獄きみ」を練り込んだ温かなパン。ひと口で心をつかまれ、思わずお持ち帰りをお願いしてしまいました。
この夜の締めくくりは、生クリーム控えめにしてもらったイチゴとプリンのパフェと香ばしいほうじ茶。フルコースの後とは思えないほど、すっと身体に溶けていきました。
JALシティ青森で迎える、うれしい朝時間
宿泊は2度目となる「JALシティ青森」。
清潔で温もりある客室には、バスソルトやほうじ茶、ナイトウエアまで細やかに揃い、レイトチェックアウト(12時までは無料)にも気持ちよく応じてくれました。(ただし、当日の混み具合で出来ない場合もあるそうです。)
朝食ビュッフェは和洋ともに充実。特に印象的だったのは

JALシティ青森の朝ごはんのビュッフェの他に、注文を受けてから作ってくれる煮干しミニラーメン。

これです。スープがちゃんと美味しくて、嬉しい。
サイズもこれくらいなら、ギルティフリー。
帆立貝柱入りお粥:貝の旨味がほっと広がり、ザーサイなどを添えると彩り豊かな一皿に。
煮干しミニラーメン:オーダー後に茹で上げる麺が絶妙。青森名物の濃厚スープを少量で楽しめる贅沢。
歴史と文学に息づく静かな時間
4度目となる三内丸山遺跡では、あえて隣接するピクニック広場を散策。

ピクニック広場から三内丸山遺跡をながめるとこんな感じ。
ピクニック広場も、とても広いのです。

売店のカシスジャムとカシスソースのコーナー。このほか冷凍カシスも。
しかし冷凍ものはオンラインショップで買ったほうが安心かも。
風に揺れる草のサワサワという音と虫の声だけが耳に届き、心が落ち着きます。売店(あおもり北彩館 三内丸山店)では青森産カシスのジャムや冷凍果実が充実。甘いお菓子やチーズのアクセントとして、旅の余韻を自宅でも楽しめそうです。県内の特産品が揃う、あおもり北彩館はオンラインショップもあるので、冷凍品のお土産なら、自宅でお取り寄せが便利で良いですね。

青森近代文学館、常設展示。
個々の展示物は許可されていませんが全体的な写真撮影ならOKでした。

特別展、棟方志功と青森の文人たち。10/19まで開催中。
母と訪れた青森県近代文学館では、県ゆかりの13人の作家を紹介する常設展示に心を奪われ、時間が足りませんでした。
特別展「棟方志功と青森の文人たち」では、文人たちとの交流が作品に息づく様子が鮮やかに伝わってきます。車椅子でも見やすい展示の高さや動線も印象的で、母も自分のペースで鑑賞できたのがありがたかったです。
旅の締めくくりは空港レストラン「ライアン」
帰路は青森空港2階の森のレストラン・ライアンへ。
長谷川自然牧場のポークジンジャー和食セットに、期間限定のリンゴとベビー帆立のジンジャーサラダと抹茶パリパリソフトクリームを合わせました。

毎回のように注文する、長谷川自然牧場の豚肉を使ったポークジンジャー、和食セット。

パリパリソフトクリーム、抹茶味。
最終便が55分遅れたけれど、美味しい余韻が心を満たし、待ち時間さえ心地よい時間に変わりました。
また訪れたくなる、青森の秋
9月の青森は、紅葉前の静けさと実りが同居する特別な季節。
弘前の洗練されたイタリアンから、夜更けのカフェ、地元の恵みを味わうホテルの朝食、そして歴史と文学に触れる時間まで。
どの瞬間も、五感をやさしく満たしてくれる旅でした。
次は紅葉が彩る頃、夫を連れてまた行く予定です。






