トランプ政権が、今月に入りカリブ海で3度目となる麻薬船への空爆を実施しました。今過去二回の攻撃ではベネズエラ船籍の船が標的となっており、政権による南米への軍事的圧力の強化が浮き彫りとなっています。
これら一連の行動は、トランプ政権が掲げる「アメリカ第一主義(America First)」の延長線上にあるとみられています。対中抑止よりも、自国への直接的脅威排除を優先する姿勢が、外交・安全保障政策の軸となっているのです。
米軍がカリブ海で「麻薬密輸船」爆撃 今月3回目 トランプ氏投稿 https://t.co/ME3gu8vZYe https://t.co/ME3gu8vZYe
— ロイター (@ReutersJapan) September 20, 2025
トランプ政権は、就任当初から不法移民の強制送還強化や、カナダ・メキシコへの高関税導入など、北米大陸に直接関係する政策を矢継ぎ早に進めてきました。今回の麻薬船攻撃も、そうした一連の「本土防衛」戦略の一部とされています。
政権関係者によれば、カリブ海に展開する米海軍の艦隊はベネズエラを強く意識した配置となっており、今後さらに軍事的圧力が高まる可能性があります。
U.S. sends 8 warships south on anti-cartel mission, unsettling Venezuela: A buildup of warships in the region has raised suspicions the Trump administration might take military action against Venezuela, whose president is accused of running a drug cartel. https://t.co/8NlvjMiGXI
— David Alexander (@davidalexander5) August 27, 2025
米国が麻薬カルテル対策ミッションで8隻の軍艦を派遣、ベネズエラを動揺させる:この地域での軍艦の増強により、トランプ政権がベネズエラに対して軍事行動を取る可能性があるとの疑念が高まっている。ベネズエラの大統領は薬カルテルを運営していると非難されている。
米政府は、ベネズエラを中南米の麻薬供給拠点と見なし、その存在自体が米国本土への直接的な脅威であると位置付けています。
現職のマドゥロ大統領に対しては、米政府が高額な懸賞金を掛けており、外交関係は事実上断絶状態にあります。
Maduro’s head now worth more than bin Laden’s
The U.S. has doubled the reward for information leading to the arrest of Venezuelan President Nicolás Maduro — now offering $50 million.
American authorities consider Maduro one of the world’s top drug traffickers and accuse him of… pic.twitter.com/QDdMypggIT
— Visegrád 24 (@visegrad24) August 8, 2025
トランプ氏が政権を担っていた一期目(2017〜2021年)でも、反体制派のグアイド氏への支援を通じて、マドゥロ政権の転覆を試みた経緯があります。当時は米軍による武力介入の可能性も取り沙汰されました。
「米国当局者…ベネズエラでの政権交代戦争を扇動している—マルコ・ルビオ、ジョン・ボルトン、マイク・ポンペオ、USAIDの責任者マーク・グリーン—は、ツイッターを使って典型的なフェイクニュースを拡散しました:彼らは、マドゥロ大統領の軍が故意にトラックに火をつけたと激しく主張しました」
外交・安全保障政策を担う政権中枢には、中南米問題に長年関与してきた専門家が多く登用されているとの指摘もあります。これにより、政権の関心が対中政策よりも南米・中米地域への戦略的関与に傾いていることがうかがえます。
“This Trump Administration Is Shaping Up to Be Latin America-First.” My latest piece in @ForeignPolicy.
The Trump admin’s personnel choices signal a strong focus on #LatinAmerica. This is the best chance in decades to compete with #China in the region.https://t.co/k0tBSHnq7r
— Ryan Berg, PhD (@RyanBergPhD) January 14, 2025
「トランプ政権はラテンアメリカ優先になりつつある。」私の最新の記事が@ForeignPolicyに掲載されました。 トランプ政権の人事選択は、#LatinAmericaに強い焦点を当てていることを示しています。
ベネズエラとの対立は、単なる外交問題を超え、米国本土の安全保障、国民の生活、麻薬犯罪との闘いに直結しています。トランプ政権は今後も、必要に応じて実力行使を辞さない構えを見せており、カリブ海での緊張は一層高まる可能性があります。
アジア諸国としても、対中戦略ばかりでなく、米国の地域優先順位の変化に注意を払う必要があるでしょう。

トランプ大統領(ホワイトハウスX) マドゥーロ大統領 Wikipediaより






