S&P 500は更に上値を伸ばした。FOMCでの25bp利下げ自体は絶対100%確実であったものの、さすがに週前半はFOMCへの警戒が入った。逆にFOMC直前になって50bp利下げを主張する理事が複数出るのではないかという推理もあったが、当日蓋を開けてみると極端な金融緩和圧力が盛り上がったわけでもなく、長期金利は反発した。
株式指数は最初は長期金利の反発にネガティブに反応したが、株式指数にとってFOMCは混乱さえ招かなければよいのであって、何も長期金利そのものの低下を必要としているわけではないため、引けるまでには持ち直した。政治的圧力による利下げと見なされれば株式や債券の調整に繋がるという懸念もあったがそれも否定されている。
木曜9/18には更にNVDAによるインテルへの出資のヘッドラインで半導体セクターを中心に上昇した。Op Exの金曜9/19は一旦は寄り天の雰囲気になったものの切り返している。
GS CTAは既にお腹いっぱいであるためどうしても下にスキューする。
DBのポジショニングでもシステマティック勢がお腹いっぱいであり、代わりに裁量勢のポジションが軽い。「裁量勢はポジションが薄いことは、あらゆる規模の調整局面における潜在的な押し目買い圧力が残ることを示唆する」とした前回の記事の観測はOp Exを過ぎても継続されるだろう。
GSのファンディングスプレッドは急速な買戻しを示唆する。これは昨年末から春にかけての売却示唆が相場にとって逆風になったのと同じように追い風になる。
BofAのディーラーガンマは相場の上昇を追い掛ける形でポジティブガンマの山が上方に移動している。Op Ex通過である程度のポジションは消えると思われるが、すぐネガティブガンマに転じる恐れは基本的にない。
自社株買いはブラックアウトに入りはじめる。これが9月後半のシーズナリティの弱さと重なる。火曜引け後のマイクロンMUの決算から決算期に入り始める。機械も休んでいるので、指数の一層の上昇は「個人投資家か裁量勢が利下げを好感して力技で買い上げる」構図に頼ることになる。
利下げ再開でバブルになった場合の上値余地を語り出す市場参加者も出てきた。BofAのFMサーベイでは過去最多%の回答者がグローバル株式市場を「割高」と答えているが、口嫌体正直の範疇を出ない。ソフトバンクGが再びAI関連に資金を突っ込んでいるが、バブル後半に突っ込んではバブル崩壊に直撃される前科も目立つためそういう見方をされている。
テクニカル。Op Exを通過してもこれまでの金曜のような反落さえなく、先週の記事でOp Exまで押し目買いで良いといつつもOp Ex後に荒れる懸念したのも微妙になってきている。
週足は下ヒゲ陽線となりFOMC底の6550がサポートとなる。ここがカチ割られた場合は仕切り直しとなるが、それまでは引続き押し目買いでよさそうに見える。
10/1に政府閉鎖となる懸念が急に持ち上がっており、また9月末は短期市場の資金逼迫イベントが控えているためニュースには事欠かない予定であり、限定的な規模の振り落としには意外さを感じないようにしたい。
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編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年9月20日の記事を転載させていただきました。