ローリスク・ハイリターンを求める「欲張り投資家」の末路

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金融マーケットの大原則は「ローリスク・ローリターン」「ハイリスク・ハイリターン」です。リスクを取らない人は、低いリターンに甘んじるしか無い。これが資本主義の現実です。

ところが金融リテラシーの低い人はこのルールを理解していません。だから、リスクが低くてリターンの高い商品を追い求めてしまいます。

ネット上で紹介されている「確実に2桁リターン」「10倍になる株を簡単に見つける方法」といったローリスク・ハイリターンを標ぼうする金融商品のほとんどは「詐欺商品」です。

なぜなら本当にそのような有利な商品が存在するのであれば、投資家が殺到するはずで、その結果期待リターンが下がっていくはずだからです。

金融商品では一般公開されている情報が短時間でマーケットに織り込まれていきます。だから自分だけが知っている「おいしい話」は存在しないのです。

逆に言えば、高い期待リターンをアピールする金融商品があるとすれば、その裏には必ずそれに見合った高いリスクがあると考えるべきです。

金融商品の中には、定期預金のように極めてリスクの低い商品もあれば、未公開株式のように成功の可能性が低いもののうまくいけば数百倍といった極めて高いリターンが期待できる超ハイリスクな商品もあります。

例えば、未公開株式は確率的にはカジノのルーレットで数字を当てるのと同じような成功の確率の低いものです。

このような超ハイリスクな商品に集中投資するのは、カジノで持っているチップをまとめて賭けるのと同じです。

金融詐欺の多くは、最初に投資家に成功体験を積ませて、そこから投資資金を拡大させる手口です。リターンが高いからリスクも高いことが最初はわかっていても成功体験によって徐々に感覚が麻痺し、最終的に資金を集中させてしまうのです。

このように考えると「ローリスク・ハイリターン」を求める投資家には厳しい末路が待っています。

そうならないためには、投資の基本を押さえた上で投資を始めることです。

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年9月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。