自民党HPより
これ、まったく看過できない話じゃないか。
小泉進次郎のステマ指示メールの件だが——正直、がっかりしたなんてもんじゃない。「ようやく真打ち登場!」「総裁まちがいなし」って、何だこの気持ち悪い例文集は。24パターンも用意して、しかも「ビジネスエセ保守に負けるな」とか他候補への誹謗中傷まで含んでいるとは。
政治の世界にまでステマが蔓延するとは——もはや末期症状だろう。
牧島かれん事務所からのメール、文面を見ると「ネガティブコメント一色になると〜」って、要するに世論操作したいわけだ。民主主義の根幹を揺るがす行為を、こうもあっけらかんとやってのける神経が理解できない。
専門家の知恵まで借りて作ったって、その専門家って誰だよ。広告代理店の連中か?
そもそも小泉進次郎という人物、去年の総裁選でも「発言に空回り感があった」と野田代表に指摘されているじゃないか。で、今回はどうかというと——ステマで底上げを図る。これが「バージョンアップ」の正体か? 笑わせる。
財務省との癒着疑惑も気になるところだ。選対に財務省OBがゾロゾロ。
加藤勝信、木原誠二、村井英樹——まさに財務省オールスター軍団。政治資金収支報告書を見れば、元財務次官の丹呉泰健氏から40万円、元国税庁長官の加藤治彦氏から10万円の寄附。これで「操り人形じゃない」って言われても説得力皆無だろう。
増税はしないが給付もしない財政規律派——要するに、庶民には何もしませんってことだ。物価高で苦しんでいる国民を横目に、自分は会員制スパで英字新聞読んでるって?
昔、父親の純一郎は「自民党をぶっ壊す」と言って颯爽と登場した。あの時の小泉劇場は確かに人を惹きつけた。でも息子はどうだ? ステマで世論誘導、財務省とべったり、庶民感覚皆無——これじゃあ自民党をぶっ壊すどころか、民主主義をぶっ壊しかねない。
自民党総裁公選規程12条には「選挙の清潔、明朗及び公正を害する行為を行ってはならない」とある。
今回の件、完全にアウトだろう。選挙管理委員長の逢沢一郎は「事実関係を承知していない」って逃げているが、事実関係なんて文春がメール現物を入手してるじゃないか。いい加減にしろ。
朝日健太郎議員の「地上戦からネット空間になっている」発言も的外れだ。問題はネットを使うことじゃなくて、ヤラセで世論操作することだろう。論点をすり替えるな。
それにしても、石田健氏の存在も胡散臭い。発足式に「物理的にはいました」って、まるで幽体離脱でもしてたみたいな言い方だな。その翌日にテレビでヨイショ発言——偶然にしちゃ出来過ぎだろう。ジャーナリストなら取材対象との適切な距離感くらい保てよ。
もう一つ腹立たしいのが、牧島かれんの最後の回答だ。
「特定の候補者を意識したものではありません」って、「ビジネスエセ保守」が高市早苗を指していることは陣営関係者も証言してるじゃないか。チェックが不十分だった? バレたから謝るってパターンか。
結局のところ、小泉進次郎って政治家として何がしたいんだ? 世襲のボンボンが、財務省の後ろ盾とステマで総理の座を狙う——これが令和の政治の現実なのか。
国民をバカにするのもいい加減にしろ。ステマで作られた人気なんて、所詮砂上の楼閣だ。いずれ化けの皮は剥がれる。その時、小泉進次郎という政治家がどんな顔をするのか、見物だな。
まあ、文春の続報に期待するしかないか。この調子で追及してほしい。政治の世界にステマが蔓延するなんて、絶対に許しちゃダメだ。
尾藤 克之(コラムニスト、著述家)
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