アメリカは国家資本主義

よくもこれだけ次々と出てくるな、と思うのがセクハラに不倫絡みの報道。今週は沖縄県南城市の市長と群馬県前橋市の市長がやり玉に挙がっていました。他にも同様案件は数多くありますが、男性側が問題を起こしたケースは往々にして「昭和」から抜け出せない「本人悪気全くなし」型。「なぜ悪いのかすらわからない」といまだに思っているかもしれません。一方、前橋のケースは真相は全く違うと思います。つまり市長は本当のことは何も述べていません。「お前の想像する本当は何?」と聞かれたら「しょーもない男女の恋愛話で記者会見では恥ずかしくて言えないレベル」だと想像しています。市長も人の子であります。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

アメリカは国家資本主義

やけに難しい言葉を使ったなというのが日経の記事「強まるトランプ流『国家資本主義』、備えは十分か」であります。国家資本主義とは国が経済に直接的に関与、管理し国家の利益を増やすことを言います。もっと平たく言えば国家レベルのミーイズム(=自己中心主義)であり、モンロー主義(=孤立主義政策)とも言えます。似たようなケースとして日産とルノーがもめた初期原因の一つであるフロランジュ法があり、これを盾にフランス政府が介入しようとし、日産の経営に大きな足かせとなったこともあります。つまりアメリカだけというわけではありません。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより

アメリカの場合、その典型が日本製鉄が持つUSスチールのケース。イリノイ州の工場閉鎖案に対してアメリカ政府は所有する黄金株を盾に「この紋所が目に入らぬのか!」とばかりに「工場は潰さない、潰せない、潰させない」であります。ある程度は予想されていましたがトランプ氏にすり寄るラトニック「商務奉行」は「これで将軍様のご機嫌もうるわしや」で私には喜劇としか思えません。

今週のお笑い国家資本主義シリーズはネバダ州でリチウム採掘を目指すカナダ バンクーバーのリチウム アメリカ社が舞台。トランプ政権がこのネバダ州のリチウムに目をつけ、同社の株をアメリカ政府が一定数取得し、ローン付保の話も発表されたことで同社株は1日にして98%の大暴騰、2日目も20数%上昇しました。(さすが3日目は下がりましたが。)私はこの会社の株をほんの少しですが3年も持っており、リチウムの採掘が一向に始まらず、ずっとムカついていました。国家資本主義ならさっさとリチウムを発掘させ商業ベースに乗せよ、と申し上げたいところです。上記2例は権益を取得するだけで何ら生産性を生み出さない国家資本主義の悪例のようも感じます。

ドリームチームが欲しい by 岸田文雄元総理

岸田氏が出演した番組で「新しい総裁には自民の総力を結集できるドリームチームをつくって、信頼回復に努めてもらわなければならない」(産経)と述べ上で「総裁選が終わった後も大事だ。激しく議論を行うことは良いが、今の自民の状況を見ていると、少し分裂気味というか、一致結束感が失われている」と苦言を呈しています。大所高所から見るとそう見えるのでしょう。私はサイドラインから見ていますが、同じように見えます。

小泉陣営の広報担当の牧島かれん氏が小泉氏をアピールするSNS作戦を展開したところ思わぬ展開となり収拾がつかず小泉氏が謝罪に追い込まれ、牧島氏は広報班長を辞しました。小泉氏に責任を求める党内の声もあるようですが、これぞ、岸田氏が懸念する分裂気味の自民党の象徴であると思います。私の周りでも首相有力候補の報に「えー?、小泉さん??」という声が多く、その理由は「頭、悪そう!」。あまり論理的ではなく、感性そのものですがその手の声の主は概ね「やっぱり高市さんだよね」という方のご意見であります。つまり自民党の総裁選なのに右派、中道、左派が入り乱れ、総裁選挙に立つ5名が同じ宣伝カーに乗る姿を見て読んで字の如く、同床異夢と言わずしてなんというのかと思います。

10月にはトランプ氏が日本に立ち寄ることになっています。その日程はたぶん10月28-29日頃だろうと思います。誰が総裁、首相になろうと組閣して秋の臨時国会を形だけでもこなし、ほとんど落ち着かないうちにどや顔でトランプ氏が「俺の次の交渉相手は誰だ?」と乗り込んできます。練習もできず、ぶっつけ本番となるなら岸田氏がいうドリーム組閣は必至で、特に外務大臣の選任が重要になるでしょう。個人的には総裁の芽があまりない茂木氏の外務大臣再任はアリだと思いますが外務省は嫌がるし、本人も「下のポジションは嫌」という我儘な方なので英語ができる小林鷹之氏が将来に向けて箔をつけるという意味で面白い人事かもしれません。あと私はスタイルは好きではなく、本望ではないですが、赤沢氏を横滑りさせ、トランプ氏との話の前面に立たせる作戦はありかと思います。今度の人事は首相も楽しみですが、組閣がもっと面白くなりそうです。

ロシアとイスラエルに本当の勝利はあるのか?

細く長くこの問題を見続ける中で最近、私の中でやや予想を修正し始めていることがあります。それは「ロシアは本当に勝てるのか?」「ネタニヤフ首相は何時まで君臨するつもりか?」であります。まず、ロシアですが、報道の一部にロシア国内の混乱ぶりを指摘する声や戦争不支持者が思った以上に増えてきている感をみています。ロシアの世論調査は中国のそれ以上に信憑性ゼロですのでどんな数字が出ようとそれを見てはいけないのですが、ロシア経済は思った以上に疲弊しており、「貯金」の取り崩しが相当進んでいると見ています。

プーチン氏はポーカーフェイスで手腕も経験も圧倒しているのですが、ウクライナとロシアの経済を相対評価するのではなく、ロシア経済の絶対評価をした場合に崩壊のリスクが少し出てきたように見えます。一方、ゼレンスキー氏が戦争が終結したら大統領から降りると表明したので次のステージに移行する気配が見えます。問題はどちらが勝つにせよ、戦後の両国内の荒廃、及び引き続き頻発するであろうテロで国家運営は相当厳しいものになると見ています。個人的にはウクライナ復興は我々が生きているうちには終わず、人口減と経済のエンジン喪失でIMF管理になる公算があると見ています。ロシアは崩壊してもまたロシアであり、主体性のない国民性では民主主義を掲げる筋力はないと思います。

一方、イスラエルですが、ローマ帝国時代からのディアスポラ(離散)を通じたユダヤ人の「思い起こせ、記憶せよ」というスローガンは彼らのDNAであり、いかにネタニヤフ氏が狂気の沙汰の国連演説をし、他国から嫌がられようが彼の精神は我々とはまるで違うところにありお構いなしであります。彼らは負けないし、やられたときの恨みは「100倍返し」どころではないとも言えます。パレスチナ国家承認の動きに対してイスラエル人は再び「記憶せよ」というのでしょう。ユダヤ教という宗教が絡むこのナラティブな展開に我々はどう受け止め、どう対応すべきか、日本も他人事ではなくなってきたと見ています。

後記
来週水曜日まで日本滞在で週明けは予備日にしていたのですが、一気に予定が入りました。今回の出張の最大の目的である「教育案件」は計画していたシナリオがとん挫し、相方の教授からは私に「どうにか道筋をつけてほしいから日本にいる残り1週間で方向性を出してくれ」と。相当の無理難題で普通なら「できません」と答えたいところですが、あらゆる可能性を探ったところ、一筋の光明が見えました。教育界の血みどろに対してビジネス的見地の切り口でディールする方法を一つみつけたのです。詳細は言えませんが、これはAIでは絶対に解けないパズルだと思います。さてどうなることやら。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年9月27日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。