全国の郵便局で法定の点呼が長年適切に行われていなかった問題は、公共インフラを担う日本郵便の信頼を根底から揺るがす事態である。国土交通省は軽貨物車の使用停止処分を相次いで発表し、最終的には全国の約2000局が対象になる見通しだ。表面的な謝罪では信頼回復にはつながらず、経営体質そのものの刷新が求められている。
- 国交省は全国111局に軽貨物車188台の使用停止処分を通知し、処分期間は15~160日間に及ぶ。最終的には全国2000局超が処分対象になる見通し。
- 日本郵便の社内調査では全国3188局のうち75%で不適切な点呼が確認され、約15万件に上る違反があった。
- 過去にはトラック約2500台の事業許可取り消し処分も受けており、今回の軽貨物車停止処分は事業の根幹に直結する深刻な影響を及ぼす。
- 郵便事業は需要減少で業績が悪化し、はがき料金の値上げを行ったが630億円の赤字を計上。にもかかわらず小規模局の統廃合やリストラは進まず、旧来の業界団体が改革を妨げている。
- 郵政民営化から20年が経過したが、経営の効率化やサービス向上は進まず、不祥事が続発。政府依存ではなく、自助努力による抜本的改革が不可欠である。
日本郵便の一連の不祥事は、単なる点呼違反にとどまらず、組織全体の隠蔽体質と旧来利権構造の延命を浮き彫りにしている。国交省の行政処分はその象徴的な一歩にすぎず、今後の信頼回復には徹底したガバナンス改革と郵便局網の合理化が不可欠である。

10月1日 会見する日本郵政・小池信也社長






