ネット工作。やらせ書き込み。下品な造語。
もはやどこの陣営の差し金でもいい。要は、やってることが子供なのだ。いや、子供に失礼か。
自民党HPより
「ビジネスエセ保守」という本音
牧島かれん氏の事務所による組織的な書き込み工作——その中で高市早苗氏を「ビジネスエセ保守」と揶揄していたという。
これ、彼らの本音だろう。
つまり、自民党の多くの議員にとって、高市氏は「本物の保守」ではない。ビジネスとして保守を演じているだけだと。そう見ている。
でも待てよ。
そう言っている連中こそ、「ビジネスエセリベラル」じゃないのか。いや、「ビジネスエセ左翼」と呼ぶべきか(ネーミングセンスは悪いが)。
昔の自民党総裁選にも金は飛び交った。それは知っている。でも、もうちょっと「大人」だったと思う。汚い手でも、使い方に品があった(と思いたい)。
今回は? 下卑た言葉でネット工作。やらせ書き込み。
まるで子供のケンカだ。
自民党総裁選という制度の権威——そんなものがまだ残っていたとして——は、見事に地に堕ちた。
政策論争はどこへ消えた
「総理になったら消費税の食料品をゼロにする」
誰か、こう言った候補者はいたか? いない。
「断固として防衛費をGDP比3%にする」
誰か、こう言った候補者はいたか? いない。
政策が、ない。いや、ある。あるにはあるが、どれも似たり寄ったりだ。違いが分からない。だから結局、足の引っ張り合いになる。次元の低い、泥仕合になる。
そして我々国民は、この茶番を「政治」だと思って見せられている。
早く投票して国会開けよ——これが私の正直な気持ちだ。
昨日、知人の記者に聞いた。「国会、いつ開くんですか?」
「10月中旬に開ければいい方かな」
10月中旬? もう秋ですけど?
国会議員の夏休みが長すぎるんだ。だから余計なことをする。暇だから工作する。
参政党のバブルの影響は
参政党が参院選で伸びたのは事実だ。国民民主党も伸びた。
でも、あれはバブルだったと思う。悪い意味じゃない。ただ、直前の1週間でワーッと上がった。参政党の人たち自身もそう言っている。
それがゴールデンウィーク明けから一気に変わった。アピール力のある女性候補を多数擁立し、目立った。外交問題など、訴える力もあった。
しかし、自民党は変わらない。そう思う。
党員制度を改革する? しないだろう。だって、それが彼らの利権構造の根幹だから。
ネット工作を止める? 止めないだろう。だって、効果があるから(今回はバレたが)。
政策論争を深める? 深めないだろう。だって、本当の違いがないから。
じゃあ、どうするのか。我々が変わるしかない。投票で、意思を示すしかない。
「でも、どうせ変わらないでしょ」
そう思う気持ちも分かる。私も時々、そう思う。
でも、諦めたら終わりだ。それだけは、確かだ。
(文体に乱れがあるのは、書いているうちに腹が立ってきたからだ。許してほしい。いや、許さなくてもいい。)
尾藤 克之(コラムニスト、著述家)
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22冊目の本を出版しました。
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