米ニューヨーク・タイムズ紙は、トランプ大統領が米議会に対し、麻薬組織との「戦争状態」にあると正式に通知していたことを報じました。これは米国による軍事行動を法的に正当化するための一環と見られています。
米政府は9月に入ってから、ベネズエラ船籍とされる麻薬密輸船を米軍によって撃沈しており、この攻撃により少なくとも17名が死亡したとされています。今回の「戦争状態」通知は、こうした軍事行動の後付けとも受け取れる内容であり、ベネズエラに対するさらなる軍事介入への布石との見方も出ています。
トランプ政権は、ベネズエラが麻薬組織や犯罪ネットワークによって実質的に支配されている国家であるという認識を強調しています。ルビオ国務長官は、ニコラス・マドゥロ政権を「テロ組織および組織犯罪が国家を乗っ取った存在(a terrorist organization and organized crime organization that have taken over a country)」と非難し、統治者としての正当性を否定しています。
また、ルビオ氏は、マドゥロ大統領が米国内で起訴されていることにも言及し、「アメリカの司法の逃亡者である」と強調しました。
ニューヨーク・タイムズ紙は、ルビオがマドゥロを「テロ組織および組織犯罪集団の頭であり、国を乗っ取った」とたと引用し、米国務省の報道官がマドゥロを「ベネズエラの正当な指導者ではない」「アメリカの司法の逃亡者」とたとしています。
米国国務長官マルコ・ルビオは、キトでの演説で、ニコラス・マドゥロを起訴された麻薬テロリストであり「アメリカの司法の逃亡者」と非難し、南アメリカ沿岸に米国の軍艦が集結する中、ベネズエラの指導者に対するレトリックを強めました。
マドゥロ大統領に懸賞金を掛けるトランプ政権
米国国防省関係者によりますと、すでに約6,400人規模の米軍部隊がカリブ海に集結しており、ベネズエラに対する軍事行動の準備が進められているということです。必要に応じて、局地的な攻撃を即座に実行できる態勢が整いつつあります。
ベネズエラから米国へ流入する麻薬の量と比較すると、メキシコからの密輸量の方が圧倒的に多いとされています。共和党内では、麻薬組織を根絶するためにはメキシコ国内のカルテルを標的とすべきだという意見も出ており、今回の「麻薬組織との開戦」通告を受けて、ベネズエラ以外の国々にも軍事行動が及ぶ可能性が浮上しています。
そうすることは、フェンタニルの問題に対処するのにほぼ確実に失敗し、アメリカの最大の貿易相手国との関係を破壊することになるでしょう
ヘグセス国防省長官とトランプ大統領 ホワイトハウスHPより