自民党の新総裁に就任した高市早苗氏が2004年に自身の公式ブログに投稿した内容が、欧米の学者やメディア関係者から相次いで批判を受けている。問題視されているのは、同氏が日本の歴史教科書に関する記述を「自虐的」と断じ、慰安婦問題や南京事件などの歴史的解釈を疑問視する言説を展開している点だ。
高市氏の主張:「自虐的な歴史教育」の是正を訴える
このブログ記事は、当時の中山成彬文部科学大臣が「従軍慰安婦」や「強制連行」といった表現が教科書から減ってきたことを評価し、それに対する批判に対して謝罪を表明した件に言及したもの。
高市氏はこの中山氏の姿勢を擁護し、謝罪は不要であると主張。その根拠として、以下のような点を挙げている:
- 「従軍慰安婦」という言葉は戦時中には存在せず、不正確な用語である。
- 南京事件に関する中国側の犠牲者数(30万人超)は、人口規模から見て信憑性に欠ける。
- 教科書での「侵略」という表現は自国を貶めており、教育の在り方として不適切。※
- 現在の政府見解(村山談話)は「不見識」であり、これに縛られる教育行政の在り方を変えるべき。
高市氏は、こうした歴史教育を「誇りある日本」を築く上での障害と位置付け、自国への「愛情」や「誇り」を育む教育の重要性を強調している。
※「侵略」は安倍首相も70年談話で認めたが、ブログ執筆時が2004年ということに留意が必要。
欧米の反応:強まる懸念と皮肉
このブログの内容が最近再発掘されると、欧米の歴史学者やジャーナリストの間で「歴史修正主義」として問題視する声が広がった。
“Japan’s new PM loves to glorify the country’s fascist past.”
(日本の新首相は、自国のファシズム的過去を美化するのが大好きだ)
“Relations with South Korea and China should be … interesting.”
(韓国や中国との関係は……面白いことになりそうだ)
“This here would move from whitewashing into glorifying Japan’s horrendous history of aggression during this war.”
(これは歴史の漂白から、日本の戦争中のひどい侵略行為を美化する段階に進んでいる)
こうした声は、歴史問題に対する、特に欧米社会における根強い偏見を改めて浮き彫りにしているとと同時に、日本の広報外交の不味さを物語っている。
今後の展望:国際関係への影響は?
高市氏の総裁就任により、歴史認識をめぐる議論が再び政界の重要テーマとなりそうだ。特に、韓国や中国との外交関係において、慰安婦問題や靖国神社参拝などの歴史問題は繰り返し摩擦を生んできた。
高市早苗氏の2004年の発言は、教育のあり方を巡る国内議論の文脈では一定の理解を得ていた側面もあるが、国際的な文脈では「歴史修正主義」と見なされる危険性を孕んでいる。国内外の認識のズレをどう埋めるか、そして政治指導者として過去とどう向き合うかが、今後の日本の外交と内政の重要な課題となる。
高市早苗氏インスタグラムより