日本滞在で思ったこと:あふれる外国人と共生問題

年に4-5回も来ている日本で今更「日本滞在で思ったこと」もないだろう、と指摘される方もいらっしゃるかもしれません。ただ、私の場合、毎回、訪日のビジネステーマが違うことも多く、今回は教育案件が主テーマで、到着した翌朝の京都での会議から始まり、最後のオンライン会議は帰国前日の夜の10時からで終わったのが午前12時半の長丁場でさすが疲れました。

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飲食について

12日間滞在していつもと違う変化があったとすれば外食回数がすごく減ったと思います。理由は2つ。単に忙しすぎて飯など食っている暇がないこと、もう1つは飲食店に行くドキドキ感が薄れてしまったことがあります。物価が上がった中で飲食店さんも頑張っていらっしゃるのですが、どうしても値上がり分をどこかで辻褄合わせしなくてはいけないはずで、それに気がついた客は盛り下がるわけです。流行っている店はゲキ混みで行列や早期の予約が求められますが、私のような立場の人間はそれは無理。すいている店はそれなりの理由があるということです。これがギャップで外食へのモチベーションが遠くなったなという感じです。

キャッシュレス???

次いで支払い方法の話。実は私は日本では現金を使っています。理由は簡単です。日本のクレジットカードがないのです。そりゃそうです。古くに日本を出てしまい、マイナンバーは付保できず、日本国籍をかろうじて維持しているような宇宙人の様な人間には日本でクレカは作れません。ではカナダのクレカがあるだろう、と言われると思いますが、カナダドルで請求される際に手数料を含んだ為替コストが生じるのです。つまり為替が不変であれば余計に払わねばなりません。

スーパーなどで並んでいて日本もいよいよキャッシュレスが進んだと思います。少し前にPayPayならどうかと思ったのですが、これもマイナンバーがなく、取得不能。まぁ最後の手段はSuicaがありますが、あくまでも電車バス専用で使っているのでチャージ額も少なく、これも現実的ではないのです。というわけで過去10数年、キャッシュレス時代の到来を言い続けた私が日本で現金払いという矛盾を引き起こしております。

ちなみに私が東京で経営している外国人向けアパートやシェアハウスの住民の約半数の外国人のうち家賃を振り込みで払う人は数名のみ。あとはニコニコ現金払いであります。昭和の時代のようで前近代的なのですが、若い外国人は本国でクレカの審査が通らない人が多いし、日本の銀行口座を作ら居ない人もかなりいるので支払い方法が現金以外に他にない、という切実な問題がそこにあるとも言えます。

あふれる外国人

外国人といえば日経に東京都豊島区と新宿区の20-24歳の居住者の外国人比率がそれぞれ38%、37%とあります。そこは私の日本での事業拠点であるわけですが、私が外国人に違和感がないのは単に外国に住んでいるだけではなく、日本の街も着実にそうなっていることに慣らされてきたからでしょう。

先日、新宿区内の新大久保に用事がありました。いつもは韓国ショップが並ぶ山手線内側に行くのですが、今回は普段はいかない「外側」の方面。夕方行った時の「喧騒ぶり」には衝撃すら覚えました。町ゆく人は日本に居住しているっぽい外国人だらけ、様々な店舗や飲食店には諸外国語のサインが並び、時折「おっ、これは日本の店だ!」という感じ。八百屋やジェネラルストアもベトナム系から中華系まで何でもあり、強烈なドリアンの匂いが店先から漂ってきます。私の印象はひょっとすると山手線エリアでは新宿歌舞伎町界隈と共に最もディープな駅ではないかと思います。

外国人共生

友人の子供が通うある関西エリアの小学校の状況を友人が子細に教えてくれました。外国人比率は概ね10数%で低学年の時は日本語ができず、別プログラムや通訳をつけて勉強する子も多いそうですが、高学年になると曲がりなりにも日本語を習得して慣れるそうです。学校では各国語をうまく取り入れた授業が行われ、子供たちが様々な言語に触れる機会を増やし、歌を歌ったり挨拶言葉を習ったりしています。PTAの役員は外国人、学業の様々な成績優秀者も外国人の名前が連なります。普通に共生しているのです。

この話を聞いていて思ったのは出身国がバラバラであればあるほど群れにくいので共生しやすい傾向があるのではないかという仮説です。もちろん、民族なので固まって暮らしやすい傾向が強いのはよく知られていますが、群れない限り日常生活において日本のやり方に同化させたり理解してもらうことで彼らと上手に生きていくことは可能なように感じます。

ジャパン テクノロジー

転んでもケガをしにくい衝撃吸収マットをカナダで販売させていただいていますが、その製造元がある浜松の工場にお邪魔しました。スタートアップの頃からの付き合いですが、着実に成長しているその理由はたゆまぬ研究努力に裏打ちされた製品の技術力、開発力と性能の良さだと強く感じました。この会社なら十分に一緒にやっていけるという確信を持った次第です。このジャパン テクノロジーはピカピカの研究室から生まれているわけではないけれど若い社員さんが夢と希望を持って日夜活躍している努力の賜物なのでしょう。浜松は研究熱心な会社が多いという風土もあるのでしょう。静岡市より浜松市の方が人口が多いというのも今回の発見でした。

日本は訪問の度に様々な発見があり、実に有意義であります。ですが今回は変わりゆくニッポンをまざまざと見せつけれられ、その変化に対する日本人の攻防や抵抗に複雑な思いを残したのもまた事実であります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年10月8日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。