実に目立たないニュースだったのが石破首相の「戦後80年」という「所感」。石破氏の歴史認識を閣議決定が求められる’談話としなかったところは安倍元首相が「談話はもういらない」と述べたこと、及び石破氏が首相としてはほぼ役目を終えており、「おまけの延長期間」にある中で発表されたものだからでしょう。内容的にも中国、韓国には触れず、むしろ日本側の問題を持論として展開したものに留まっています。私から見るとどうしても出したかったという石破氏の個人的目標の達成とも言えます。「立つ鳥 跡を濁さず」とも言えるのでしょうかね?
では今週のつぶやきをお送りいたします。
北米市場はネタ切れ状態
これを書く金曜日の日中の北米市場は冴えない展開。この1週間はチャート上は陰線続きで形もあまりよいとは思えません。根本的理由は政府機関の閉鎖が続き、統計データも発表されないことでネタ切れが起きていることがあります。AI関連企業の買いも続いていますが、AIそのものがマネタイズができていない中で巨額の投資話が打ち上げ花火状態になっており、大手一角以外は物見遊山とも言えます。
ガザ問題では第1弾の合意となっていますが、第2弾以降が実現するかは個人的にはまだ手探り状態だと見ています。イスラエルの強硬派が中途半端な合意は許さず、ネタニヤフ氏がアメリカ寄りとなれば連立解消、内閣瓦解はあり得ます。そうなればガザ問題はやっぱり一筋縄にはいかないというになりかねません。事実、有事の金は第1弾合意でも買われており、市場の読みはメディアからのニュースを皮肉に受け止めているとも言えます。
もう1つ注目しているのがサウジを中心としたOPEC+の影響力が落ちているのではないかという疑いです。OPEC+は原油の減産削減(=増産)を急ピッチで進めており、価格下落懸念もなんのその、でありますが、その真意はOPEC+に参加していない産油国のシェアが伸びていることが本当の理由だと見ています。例えばカナダは原油生産は快調に伸ばしていますし、中南米産も増えているとされます。原油がより政治的な結びつきを強める中、市場価格が本来の需給を反映しないことも出てくるかもしれません。海外からのこのような目立たないニュースは日本はスルーしやすいのですが、情報が少ないこの時期だからこそ、気をつけないと思わぬ展開が起こりうるとも言えます。
やっぱり魑魅魍魎だった日本の政界
公明党が連立離脱という報道は衝撃でした。記者会見では高市氏がいつもの笑顔をひとつも見せず、鈴木幹事長は仏頂面。相当衝撃だったのでしょう。様々なニュースが飛び交っていますが、私はかなり前から自民と公明が一緒になっている理由はないとこのブログで指摘していました。自民と公明は1993年に今回と似た形で自民から離れ、当時は細川政権と小沢一郎氏について行った経緯があります。では今回の離脱の直接原因ですが、表向きは政治とカネ、あるいは自民党の党役員構成が気に入らなかったことでしょう。ただ、実際には媚中派の公明党が中国から「高市氏だけは首相にさせないで欲しい」と懇願されたことが引き金だとみています。さもなければ温和な斉藤代表があれほどの決意をするとは思えないのです。
私は高市氏の党人事はヘタを打ったと書きました。その通りになったのですが、高市氏にすれば政治とカネ問題のみそぎは済んでいると考えていただけに世間や政界の温度差を改めて感じさせてしまいました。では「高市首相」はないのか、というと連立政権と首相指名選挙は別物であり、高市氏首相の可能性はあります。ただし、第1回目の投票では公明は斉藤氏を、国民は玉木氏を推挙すると見込まれ、他の党も1回目で決まらないと見れば票が割れ、決選投票になります。もしも立憲が野田代表の名前を書けば決戦は高市VS野田になりますが、もしも立憲が玉木氏に勝手に「貸しを押し付ける」可能性も含めれば高市VS玉木はあり得ることになります。
自民・高市総裁と国民・玉木代表 両党HPより
いまや海外では日本はフランスと双璧の「難局化する政治問題国」となっています。仮に首相選がどういう形に収まったとしてもそれは終わりの始まりに過ぎず、極めて混とんとした政治展開が見込まれます。正に90年代の小党分立、分離合併を再び繰り返す可能性も出てくるでしょう。あの頃はそれでも自民党が最後に復活したのですが、今回は自民党が復活できる確実なシナリオはないと思います。元来、日本は保守層も強いけれど「日本的左派」が安定多数です。故に自民も中道右派からどんどん左に寄って行ったのはポピュリズムという名の多くの普通の庶民の心をつかみたかったということではないでしょうか?
病めるアメリカ
私は今、ロスアンジェルスにおり、そこでこのブログを書いています。2年ぶりにTony Robbinsの4日間セミナーに出席しており、昨日が1日目でした。2年前のプログラムとほぼ同じですが、アナハイムの会場には11000人、オンライン参加者が更に6000人です。参加費はざっくり15万円。私は自己啓発にはさほど興味がないのです。自分である程度、啓発できていると思うし、この年齢で自己啓発する積極的理由はないのです。ただ、Tonyが私と同じ年で49年もコーチング業をやっている中で彼の強さや人を引き付ける魅力がどこにあるのか共有するのが好きなのでしょう。また半ば宗教とも言えるこのイベントに20-40代の人が大金を払い、詰めかける理由がどこにあるのかを見たいこともあります。
1日目のプログラムは最も強烈でTonyがほぼ一人で仕切るのですが、彼は13-4時間休みなく機関銃のように喋りまくるのです。(ランチもサパーブレイクなど一切ありません。本当のぶっ通しです。)言葉に詰まることもなく、まるで呪文のようにそれを参加者に訴えていきます。イベントのトリは熱い石炭の上を歩く「Fire Walk」でこれは11000人の参加者の95%以上がやるとされます。私は今回はたまたま場所が良く、開始後15分ぐらいで渡れたので良かったですが、全員渡り終わるには1時間から1時間半ぐらいかかります。それでも私が会場から岐路に着いたのは夜中の12時40分。ロスに戻ってきたのは午前1時半でした。今日も既にプログラムが始まっているのでこれを書き終わればすぐに向かいます。
病めるアメリカ。なぜ、人々は高いお金を払ってコーチングを受けるのでしょうか?このプログラムは自分が座っているそばの人と自己開示をすることを求められるのでかなりアクティブな参加者が多いのが特徴です。私の隣にはたまたま知り合った日系アメリカ人の若者。何に病んでいるのかと思えばご両親が◯◯教会で自分がどう距離感を持つかということでした。会場からは離婚を重ねて複雑な家族となったり、社会からドロップアウトした人も多いし、極度のストレスにメンタル的な問題を抱えている人も目立ちます。人生の成功を夢見るというより人生の最後までどうたどり着くか、という試練の中にいる方がより多いという気がします。
後記
カナダで教育財団を作りました。連邦ベースで設立したので税務当局の承認を受けるのに半年ほどかかりましたが、スムーズに承認を得ました。タイミングよく、ある大学から日本と交換留学生制度を導入するにあたり協力を求められました。積極的に検討していくつもりです。財団といっても私の個人財団ですので基金がある程度貯まり、まともに機能するには3-4年かかるでしょう。お金は輪廻させるというのが私の考え。そのために一定額は自分の意図した形で社会還元するのは重要なプロセスだと思っています。札束を抱えて墓場には行けませんからね。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年10月10日の記事より転載させていただきました。