米中関係が再び緊張する中、トランプ米大統領は強硬発言から一転、対中融和の姿勢を見せた。中国のレアアース輸出規制に対抗して「100%関税」を宣言した直後に「中国を助けたい」と語り、市場の不安をやわらげる狙いをにじませた。
- ① 100%関税発言から2日でトーンダウン
トランプ大統領は10日に「11月1日から中国製品に100%の追加関税を課す」と発言し、米中首脳会談の中止も示唆した。しかし12日にはSNSで「米国は中国を傷つけるのではなく、助けたい」と投稿し、「習主席は尊敬すべき指導者だ」と融和的な姿勢を示した。 - ② 中国側は「報復措置」を示唆
中国商務省は12日、米国が追加関税を発動すれば「相応の措置を取る」と声明を出した。レアアース輸出規制については「全面禁止ではない」と説明しつつ、対話による解決を呼びかけた。 - ③ 米財務長官は「対話継続に自信」
ベッセント財務長官は13日、「米中首脳会談は予定通り行われる」と発言し、週内に事務レベル協議を行う方針を明らかにした。国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会中にも協議を進めるという。 - ④ レアアース規制をめぐる応酬
中国は9日にレアアースや関連技術の輸出規制を発表。スマートフォンやEV、軍需産業に不可欠な素材を武器化し、米国への圧力を強めた。トランプ政権は対抗してボーイング製部品の対中輸出停止も検討中とされる。 - ⑤ 市場は安堵、株価反発
トランプ氏の軟化発言を受けて13日のニューヨーク市場ではダウ平均が一時500ドル高となり、貿易摩擦への懸念が和らいだ。AI半導体関連株も買われ、ハイテク株中心のナスダックも反発した。
米中は5月に「関税休戦」で一時合意したが、レアアース規制をめぐり再び火花を散らしている。トランプ政権が半導体輸出規制を強化したのに対し、中国は同様の手法でレアアース輸出を制限。双方の応酬は、経済安全保障をめぐる長期的な対立構造を浮き彫りにしている。
トランプ大統領と習近平国家主席 Wikipediaより