東京商工リサーチの発表によると、2025年度上半期(4〜9月)の企業倒産は増加傾向にある。コロナ禍で延命されてきた中小企業が、物価高や金利上昇、人手不足の影響を受けて限界に達している。倒産増は一見悪いニュースのように見えるが、過剰な延命をやめ、経済を健全化する兆しとも言える。
- 2025年度上半期(4〜9月)の企業倒産件数は 5,172件、前年同期比で 2%増加。
- 倒産の原因は「販売不振」「コスト高」「人手不足」が中心。特に人件費の上昇で小規模事業者の負担が重くなっている。
- 倒産の多くは中小・零細企業で、負債1億円未満の小規模倒産が過去最高水準。
- 業種別では、建設業・サービス業・製造業など幅広い分野で増加している。
- 人手不足倒産も増加し、求人難や従業員退職が経営継続を困難にしている。
- 金利上昇や物価高、円安によるコスト負担が中小企業を直撃。
- コロナ期の金融支援で延命された“ゾンビ企業”が淘汰され始めたとの見方もある。
- 日本では企業倒産が少なすぎ、生産性の低い企業が生き残ってしまう構造が続いてきた。
- 税制や補助金で守られている中小企業が多く、企業の7割が実質的に納税していないとの指摘もある。
- 政権は中小企業を支持基盤として守る傾向があり、抜本的な改革が進んでいない。
- 経済の新陳代謝を進めるためには、ゾンビ企業を自然淘汰し、労働力をより生産的な分野へ移すことが必要。
倒産の増加は短期的には痛みを伴うが、長期的には経済を立て直すチャンスである。延命された企業を整理し、生産性の高い産業に人と資金を移すことこそ、日本経済の再生の第一歩だ。企業の「生と死」を恐れず、新しい産業を生み出す循環を取り戻すことが求められている。
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