高市内閣の発足を機に、「スパイ防止法」制定の動きが一気に現実味を帯びている。外国による情報工作の懸念が高まる中、日本には外国スパイを取り締まる明確な法律が存在せず、「スパイ天国」と揶揄されてきた。政府・与党はこの状況を改めるべきだとして、法整備の議論を加速させている。
- 高市首相は就任直後、安全保障と情報保全を最重要課題と位置づけ、スパイ防止法の検討を本格化させた。
- 現行法では、外国スパイが国家機密を盗んでも「国外退去処分」にとどまり、拘束や処罰ができない。
- 先進国の多くがスパイ罪を死刑や終身刑の対象にしているのに対し、日本では法的空白が続いている。
- 推進派は「経済安全保障や国防の基盤を守るためには不可欠」として、年内に法案骨子をまとめる方針。
- 維新や国民民主も賛同し、「情報漏えいの抑止」「外国勢力の浸透防止」を掲げて政府を後押ししている。
- 一方で、立憲民主・共産など野党や一部メディアは「表現や取材の自由が脅かされる」と懸念を示し、慎重審議を求めている。
- 政府内では、報道・研究活動を保護する「公益目的除外」や「司法の関与」など、歯止め措置の検討も進んでいる。
- 与野党対立が激化する中でも、世論調査では「法整備が必要」とする回答が過半を占めている。
日本が「スパイ天国」と呼ばれる現状を放置すれば、国家機密や技術情報の流出は止まらない。国際的な情報戦の時代に生き残るには、実効性あるスパイ防止法の整備が急務である。問題は、国民の自由と安全保障のバランスをどう取るかだ。高市政権がその線引きを明確に示せるかが、今後の焦点となる。
-高市早苗首相 首相官邸HPより