24日、高市早苗首相は衆参両院本会議で所信表明演説を行い、経済・安全保障・憲法改正などを横断する政権運営の基本方針を提示した。議場では与野党双方の反応が強く、“過去の政権”と比して異例の雰囲気が見られた。
- 首相は「責任ある積極財政」を掲げ、暮らし・未来への不安を「希望」へと転じる姿勢を打ち出した。
- 最優先課題として物価高対策を挙げ、「継続的に賃上げできる環境を整えることが政府の役割」と明言した。
- 財政出動と成長産業への投資を通じて、税率引き上げに頼らずに税収増を目指す方針を示した。
- 安全保障においては、GDP比2%水準の防衛費を「今年度中」の達成を目指すと宣言。
- 憲法改正や自衛隊のあり方、防衛力強化も演説に盛り込まれており、従来の保守色・タカ派色が表れた。
- 議場の反応として、自民党議員の拍手や声援が過去に例を見ないほど活発だったという報道がある。
- 野党側は、演説中のヤジ・怒号が過去の首相演説に比べて多かったという指摘。議場が「騒然」としたというコラム的報道もある。
- 自民党議員が演説後も議場に残って首相の退場を見守り、拍手を続けたという光景が「珍しい」として注目された。
- 与党側の議席数は減少しているものの、演説時の「熱気」は過去にないほどという印象が伝えられている。
- 与野党双方のスタンス変化を背景に、かつての 安倍晋三政権初期のように「経済重視・成長重視」の姿勢が内包されているとの見方もある。
- また、首相が「経済全面」へのフォーカスを鮮明にした点が、保守・タカ派という枠組みを超えて、国民の関心に応えようとする姿勢が読み取れる。
高市首相の所信表明演説は、経済政策(物価高対策・賃上げ・成長投資)を前面に出しながら、安全保障・憲法改正といった保守色の強いテーマも同時に提示するものであった。議場の反応が例年以上に強かった点、与野党を巡る関係性に変化の兆しがある点も印象的である。今後、掲げられた方針が具体的な政策実行に移るかどうかが焦点となろう。
第219回臨時国会で所信表明演説を行う高市首相 自民党HPより
高市早苗首相の所信表明演説の要旨
- 物価高対策を最優先課題と位置付け、「賃上げ」「消費の回復」「暮らしの安定」への取り組みを強調。
- 戦略的な財政出動を通じて所得を増やし、消費を喚起し、それによって税収を増やすという「成長→税収増」サイクルを打ち出した。
- 税率をむやみに上げず、政府債務残高を国内総生産(GDP)比で引き下げ、「市場の信認」を確保する方針を示した。
- ガソリン税や軽油引取税の暫定税率の早期廃止など、燃料・生活コストの軽減策にも言及。
- 防衛・安全保障分野では、GDP比2%水準の防衛費の早期達成を目指し、防衛力を抜本的に強化する姿勢を鮮明にした。
- 成長戦略として「日本成長戦略会議」の創設を訴え、中堅企業支援や地域未来戦略の推進も掲げた。
- 自身の政権を「保守」「タカ派」と言われる立場にありながら、今回の演説ではむしろ「経済再生・暮らし重視」の姿勢を前面に出した。