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転職相談で、よく聞くセリフがある。
「辞めたいんですけど……自分の仕事、他にできる人いなくて」
はい、ストップ。悪いけど、それ100%思い込みだから。
「逆転転職 未経験・異業種からでも選ばれる!共感ストーリー®戦略」(松下公子 著)WAVE出版
あなたの代わりはいくらでもいる
いや、傷つけたいわけじゃない。でもこれ、むしろ朗報なんだよ。「自分が辞めたら会社が困る」って思ってると、一生辞められないから。
風邪でも休めない会社って、おかしいでしょ。Bさんって人がいた(仮名ね)。相談に来たとき、こう言った。
「転職したいんです。でも、私の仕事は私しかできなくて……」
話を聞くと、長年1人で業務を担当してる。風邪ひいても休めない。周りに頼れない。体調悪くても出社する。
「……それ、異常だから」
私、はっきり言った。
「社員が体調悪くても休めない会社なんて、健全じゃない。会社のためにも、あなた辞めるべきだよ」
彼女、最初はびっくりしてた。でも、だんだん「そうですよね……」って。あなたが辞めたら、会社は変わる(いい意味で)。
で、彼女、最終的に転職した。内定もらって。退職後、その部署どうなったと思う?
新たに3人採用された。1人から3人体制へ。業務が分散された。誰かが休んでも、仕事は回るようになった。
つまり——Bさんが辞めたことで、組織が健全になったんだよ。彼女が我慢して働き続けてたら、この改善は起きなかった。会社も、ずっと問題を放置してた。会社は「個人」じゃなく「組織」で回ってる。
会社って、組織で回すもの
あなたが辞めたら、会社は新しい人材を補充する。業務を調整する。それだけ。
「でも、自分しかできない仕事が……」
いや、だからそれが問題なんだって。1人しかできない仕事がある会社って、リスク管理できてないってこと。あなたが突然病気になったらどうするの? 事故に遭ったら?
本当に健全な会社なら、誰が辞めても回る仕組みがある。
「誰かのため」じゃなく「自分のため」でいい。
職場への責任感。それ自体は素晴らしい。でもね、「誰かのために働く」じゃなくて、「自分のために働く」意識も持っていいんだよ。
あなたの人生は、あなたのもの。会社のために自分を犠牲にする必要ある? ない。転職して、もっといい環境で働く。自分らしく働く。それ、選択肢として全然アリ。
「思い込み」が転職を邪魔してる。異業種転職を考えると、色んな不安が出てくる。
「経験がない」「年齢が」「周囲の反対が」。でも、その不安の大半は「思い込み」。
「自分が辞めたら会社が困る」も、その一つ。実際は、困らない。むしろ、組織が見直されて、いい方向に変わることもある。視点を変えるだけで、不安って軽くなる。前向きに動けるようになる。あなたが本当にやりたい仕事があるなら正直に言う。
会社は、あなたがいなくても回る。
でも、あなたの人生は、あなたにしか生きられない。やりたい仕事があるなら、思い込みに縛られず、一歩踏み出してみて。
その決断が、あなただけじゃなく、あなたがいた組織にとっても、プラスになるかもしれない。まあ、信じるか信じないかは、あなた次第だけど。
※ ここでは、本編のエピソードをコラムの形で編集し直しています。
尾藤 克之(コラムニスト、著述家)
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22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)








