どうなる、トランプ関税とマスク氏の150兆円報酬案承認

NHKの子会社の余剰金が全部で1030億円もあることが判明しました。この子会社余剰金をNHKに配当すればNHKの財務改善になり、ひいては受信料金額が下げられる可能性が出てきます。NHKの経営幹部は当然知っていたでしょう。子会社の事業レベルと余剰金が不釣り合いなほど余剰金を抱きかかえていたのは隠し財産とみなされてもおかしくありません。でもこれ、政府はあまり追求したがらないかもしれません。理由は各省庁、みんな隠し財産を持っていますからね。世間の目がそこに及ぶのが怖いと思いますよ。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

乱高下する株価の落としどころは何処か?

株価が乱高下しています。心配で夜も眠れない人もいるでしょう。みなが昔、安い時に買った株ばかりではないのです。毎日プライム銘柄だけで20-30億株の取引が成立しているのです。当然、日経平均52000円頃に熱気に背中を押されて買った方も多いはずです。今回の相場はミニAIバブルです。それを疑う余地はなく、ソフトバンクGがあそこまで買われたのはアメリカのテック株に比べて値ごろ感があった中で、値がさであり、ボリュームが取れるので海外機関投資家が手を付けるにはもってこいだったのです。

ですのでソフトバンクGが夏ごろから上がり始めた時から同社主導の相場で同社株が高値を付けた時が日経平均の高値になるとわかっていました。仕組みは機関投資家がこの重量級の株式をググっと押上げ、一度動けば惰性が付き、個人投資家がこれに乗っかるわけです。皆で盛り上がる頃は機関投資家は既に手を引いています。つまり気が付けば牽引車無き暴走列車になるわけです。当然、登りでは力がないので株価は下落する、そういうシナリオです。

ではお前はAIバブルは終わったと思うのか、と聞かれると北米市場で株を操作しながら判断に苦しんでいるところです。今回の下落のきっかけはゴールドマンなど数多くのアナリストや専門家が「株価は行き過ぎ」との警告を出したことにあります。ただ今すぐに調整が始まるという話でもないのです。高値復活の可能性は循環相場、つまり次の牽引役が出るか、です。金相場は調整局面です。私が悩んでいるのはまだ次の兆候らしきネタがないことでしょうか?日経平均のチャート的には49000円あたりにある25日移動平均を切れば45000円あたりにある75日平均移動に向かう公算は出てきます。瀬戸際で攻防となります。要注目ですね。

どうなる、トランプ関税

トランプ関税を巡る連邦最高裁の口頭弁論が始まりました。まだ始まったばかりなのですが、トランプ政権側に不利な雰囲気が漂っています。最高裁判事らが政権に厳しい質問を突き付けています。明白なのは政権が掲げる国際緊急経済権限法(IEEPA)には関税をつけてもよいと明言されていない中でそれをどう解釈すれば関税付保になるのか、政権が法的な論理だてをして判事らを説得する必要があります。

ご承知の通りトランプ氏はIEEPAを広義に解釈して関税付保を実施したわけですが、悪く言えば曲解していたかもしれず、それが下級審で敗訴に繋がってきたわけです。トランプ支持派は関税を付保する法律図書は他にいくらでもあると豪語していますが、それこそ今までIEEPAを根拠法としていたのに他の法律を参照すると言い始めれば真の意味での曲解となります。また大統領にその権限があるのかも議論されており、本来は議会の決議を要するのではないか、という点も審議されます。

トランプ氏は「最高裁敗訴なら第2プラン」と述べ始めています。判決は今年の終わりから来年の初めあたりに出ると思います。既に二国間協定を多数結んでしまっている中で「振出しに戻る」は大混乱になる以上に信任上の問題が出てくるでしょう。またこの責任は誰が取るのかという問題にもなりますし、トランプ氏を囲む政権幹部は皆、かばん持ちだったとの批判も出るはずです。他方、トランプ氏のやり方に諦めていた人たちが手のひらを翻したように声を上げることもあるでしょう。ここは「税金を返せばいだろう」という単純な話では済まないというのが私の懸念であります。

イーロンマスク氏の150兆円報酬案承認

この報道、150兆円というところだけ見るといかにも今すぐにもこのお金が彼に流れるように聞こえますが、そうではなく、様々な目標をクリアすれば褒美に最大これだけさし上げるという話です。その目標は手を伸ばせば届く程度か、といえば私から言わせればスペースXで太陽系の外に出るぐらい高い目標だと申し上げます。つまり何一つ確定した報酬ではないのです。テスラ社において各ステージの目標達成と共に時価総額を連動させて今の1.5兆㌦から8.5兆㌦にまで引き上げる点であります。例えば時価総額2兆㌦とテスラ2000万台販売とか、3兆㌦と100万台のロボットといった具合です。しかし、4兆㌦から上はEBITDAしかないので、何でもよいから時価総額を上げろ、とも読めます。この8.5兆㌦はエヌビディアとアップルの時価総額を足したぐらいの水準です。これは厳しい目標です。

この株主承認に興奮気味のマスク氏はいったい何に喜んでいるのでしょうか?権力と権限でしょう。私の勝手解釈を述べます。もしもマスク氏の企業が8.5兆㌦もの時価総額となれば世界を制覇し、世になくてはならないプロダクトなりサービスを提供する企業という意味になります。私は彼は将来大統領になりたい野望をいまだに持っているのだと思っています。少なくともその野望に向けて驀進することに株主は背中を押した、そういうことでしょう。もちろん、彼は報酬目当てのディールをしたのではありません。テスラ社を使って自己の野望を実現させるレバレッジをした、そうとしか思えないのです。

では彼はその目標に向かい電気自動車を世界中で売り歩くのでしょうか?NON!そんなわけがありません。彼は全く違うビジネス体系を立ち上げるでしょう。もちろんAIが絡んできます。それが何だか私の頭では想像できないのですが、世に存在しないレベルの発想を実現化させるぐらいでないと難しいでしょう。もしもSF小説風に書くなら、「自分の分身的ロボット君が働き、買い物をし、子育てをする。本人はマインドフルネスにウェルネスといった今までの多忙な日々で忘れがちだった人間の本質を突き詰めるための時間を費やすことができる」といった具合ならどうでしょうか?ロボット君と本人はテレパシーでコミュニケーションを取り、AI技術で阿吽の呼吸となる、となれば時価総額8.5兆㌦も夢ではなくなります。株主はマスク氏に夢を託したのです。マスク氏と株主は同床異夢だけど良い話じゃないですか。そういう太っ腹がアメリカの強さとも言えるでしょう。

マスク氏とトランプ氏 ホワイトハウスXより

後記
先日行った膝の手術の術後経過の診察。ドクター曰く「問題だった浮遊物(割れた親指大の2つの骨)の除去は出来た。だが、膝の中の状況が極めて悪いのですぐではないが、いつか再手術になる」と。膝のリプレイスメントというもので「それはたいそうな手術なのですか?」ときけば「1時間半か2時間だよ」とあっさりしたもの。続けてドクターが「君のやっている仕事は私から見ればすごいと思うだろう。僕にはできないさ。でも僕は君にはできないけれどプロとしての技術があるからで難しそうでもできるんだよ」と。私はこの言葉にインスパイアされました。自分の能力を切磋琢磨せよ、誰にも負けないレベルに引き上げよ、と脳内変換しました。技量も人間性も素晴らしいドクターとの出会いに感謝です。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年11月8日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。