財務省が70歳以上の医療費の窓口負担を現役世代と同じ3割に引き上げるよう提案した。社会保障費の膨張に歯止めをかけ、世代間の公平を確保する狙いだが、厚労省は強く反発している。
- 財務省の提案
11月5日の財政制度等審議会で、財務省は「70歳以上も一律3割負担」にすべきと主張。
高額療養費制度で上限は年14.4万円(月1.2万円)に抑えられ、「過度な負担にはならない」と説明した。 - 高齢者の支払い能力を強調
高齢者の9割は持ち家で、貯蓄中央値は1000万円超。85歳以上の自己負担は年間8.7万円に過ぎず、「支払い余力は十分」と指摘した。 - 厚労省の反応
上野賢一郎厚労相は11日の会見で「現実的ではない」と否定的。高齢者の生活や政治的反発を懸念し、慎重姿勢を崩していない。 - 背景にある制度の歪み
日本の外来受診回数はOECD平均の約2倍で、医療費の約7割を高齢者が消費。現役世代の保険料負担が限界に達している。
「安すぎる負担が過剰受診を招いている」との指摘も多い。 - 世代間の公平性が焦点に
「もう『高齢者は死ねというのか』の時代ではない」「今は『現役世代に死ねというのか』だ」との声がかつてなく広がっている。
財務省案は、持続可能な社会保障制度を再設計するための試金石となりつつある。
財務省が切り込んだ「高齢者3割負担」論は、医療費だけでなく世代間の公平を問う議論でもある。
政治と行政(厚労省)がこの現実から目をそらせば、重いツケは次の世代が払うことになる。
上野厚労相 厚生労働省HPより