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街で見かけた、あの光景が全てを変えた。
50歳前後の、何の変哲もない男性。カッコよくもない、特に背が高いわけでもない。なのに、20代の美女が腕を組んで、楽しそうに一緒に歩んでいる。
最初に見た時、本当に信じられなかった。何かのカラクリがあるんじゃないか?そう思ったほどだ。
「ナンパの科学 中高年が若い美女を落とすための論理的プロセス」(WAKA 著)幻冬舎
マッチングアプリの絶望的仕組み
正直、マッチングアプリは詐欺に近い、と思っている。いや、詐欺ではない。仕組みが完璧なだけだ。
50歳で登録すると、何が起こるか。マッチするのは、ほぼ40代以上の女性。稀に30代。20代? そんなのは、年に数人。それも、まともにマッチできることはない。何故か。アルゴリズムだ。
20代女性が、50代男性を選ぶ理由は何か。経済力? 確かにそれもある。でも現実は、同年代か若い男性を選ぶ方が、圧倒的多数派だ。だからシステムは、そう学習する。年を追うごとに、自分の画面に出てくる相手は、自分の年代に近づいていく。
これが「デジタルな非情さ」である。機械は、人間の願望を尊重しない。統計が示す現実だけを突きつける。
婚活パーティーも変わらない。最近のパーティーは年代別に分けられている。40代男性向けのパーティーには、40代女性が集まる。年の離れた出会いは、初めから設計されていない。
こうして、多くの男性は諦める。「年には勝てない」と。そして、その思い込みが、潜在意識に刻み込まれるのだ。
「誠実系ナンパ」は優しい幻想
ナンパ、と言うと何を思い浮かべるか。
「きれいですね」「かわいいですね」——褒めて褒めて、最後に「よかったらお茶でもどうですか?」
教科書的。丁寧。礼儀正しい。いわゆる「誠実系」というやつだ。
ナンパ塾の多くは、この手法から教える。初心者向け。実践しやすい。わかりやすい。だから、多くの男性がこれしか知らない。
でもね、これで成功するのは、若くてかっこいい男性か、年収が高い男性だけだ。もしくは両方。
普通の、年を重ねた男性が、20代の美女に声をかけて。その「誠実系」で成功する。そんなのは、私の数千人の塾生の中でも、ほぼいない。
知ってますか。20代で容姿のいい女性は、毎日、何十人という男性から同じ褒め言葉を聞いています。LINEで。駅で。SNSで。「きれいですね」。もう、聞き飽きている。
だから、その「誠実系」を仕掛けた瞬間。女性の顔は曇る。「またか」という表情。それが全てだ。感情は、揺れない。心は、動かない。
年を重ねた男性が、その手法で成功することは、統計的にほぼ不可能に近い。
で、実際どうなったのか
特別に見た目がいい奴は、成功している。そりゃそうだ。でも、普通の男性も、成功している。むしろ、多数派は普通の男性だ。昔は非モテ。今も、年は取っている。なのに、20代の美女と付き合っている。
「なぜ?」という質問を、もう千回は聞いている。
答えは、いつも同じだ。「相手の感情を揺らすことができたから」
技術の問題じゃない。話術の問題じゃない。「潜在意識にアクセスする能力」を手に入れたか、手に入れてないか。それだけだ。
街で見かけるあの男性たちは。別に、特別じゃない。
ただ、潜在意識にアプローチする方法を知った。そして、それを実践できる「セルフイメージ」を手に入れた。それだけだ。
年齢が理由だ。外見が理由だ。そう思う気持ちは、わかる。私も、そう思ってた時代がある。でも違う。それは、ただの思い込みに過ぎない。
その思い込みを壊す。それが、全てだ。
※ ここでは、本編のエピソードをコラムの形で編集し直しています。
尾藤克之(コラムニスト、著述家、作家)
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22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)