政府、自衛隊の階級名変更検討 諸外国の軍隊に準拠、1佐→大佐/1尉→大尉 産経新聞
政府は12日、自衛隊の階級名を変更し、国際標準化させる検討に入った。複数の政府関係者が明らかにした。自衛隊は軍事色を弱めるため、独自の呼び方をしてきたが、諸外国の軍隊に準拠した呼称にすることで国民の自衛隊への理解を促進し、自衛官の地位向上と士気高揚につなげる。来年度中の自衛隊法改正を目指す。
これは昔から繰り返し言われてきたことで、ぼくも問題にしてきました。
ですが、状況証拠から考えれば、今このタイミングで話が出たのは、国会答弁とトンデモ政策で火だるまになっている高市首相が、支持層のネトウヨに媚を売るためのものでしょう。
ぶっちゃけた話、ネトウヨのオ○ニーのおかずに過ぎない。
それよりもやることがあるでしょう。
名称変更ならば、むしろ「普通科」とか「特科」とか、軍隊と違う名称や専門用語から直していくべきでしょう。砲兵科がだめなら砲術科でもいい。あとは護衛艦も駆逐艦とか空母とか分類を分ける。フリゲイトがあるんだからいいじゃない。いつまで準空母を「駆逐艦」と強弁するんだ。さらに申せば、艦艇の排水量は基準排水量ではなく、他国同様に満載排水量で示すべき。少しでも小さく見せようという卑屈な魂胆が見え見えです。
自民党国防部会に出している資料とは、満載排水量で出しているだろう(笑)。
また、将官と1佐の間に准将を設けるべきです。国によって准将は将官寄りと大佐寄りに分かれるのですが、その辺の調整も必要です。
特に陸自の場合、階級インフレを何とかすべきです。実質旅団を「中将」である陸将が指揮し、実質連隊戦闘団を少将相当の陸将補が指揮し、実質歩兵大隊の普通科連隊を、大佐である1佐が指揮している。それぞれ本来は一つ下の階級が指揮するものです。
特に普通科連隊は問題で、中隊長から大隊長なしでいきなり連隊長です。民間なら、係長が課長の経験なしでいきなり部長になるようなものです。
階級の名称変更は最後に手を付けるべきです。しかも海自では大佐や大尉を「だいさ」「だいい」と旧軍読みするのか。
また、「軍」曹とか二等「兵」という軍隊の名称をそのまま採用していいのか。軍隊はもたない自衛隊という「設定」を自ら崩すことにならないのか。かといって、曹や士はそのままで偉い人たちだけ軍隊の階級にします、では士気は落ちるでしょう。
安易に台湾有事に介入すると国会で言ってしまう素養もなく、政治家として未熟で無能な首相が、自分の人気取りのために「強いリーダー」を演出する目的で自衛隊を政治利用するのはやめるべきです。次は実際に火遊びをするのではないかと不安です。
高市首相 首相官邸HPより
■
Kindleで有料記事の公開を始めました。
いずも級、22DDHは駆逐艦に非ず。 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一
暴力装置 (清谷防衛経済研究所) – 清谷信一
東洋経済オンラインに寄稿しました。
拡大する防衛費を防衛省・自衛隊が適切に使えていない可能性。陸上自衛隊による、銃の調達や取り扱いから垣間見える「知識不足」の疑い
https://toyokeizai.net/articles/-/911653
ソニーグループが「隠れた防衛関連企業」といわれる理由、実は同社製のある汎用品がミサイルやドローンなどに欠かせないパーツになっていた
https://toyokeizai.net/articles/-/907817
過去の著作の電子版が発売になりました。
『ル・オタク フランスおたく物語』
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DY1PJ1YL/
『弱者のための喧嘩術』
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DY1L9SPW/
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2025年11月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。