政府は私たちの通貨に何をしてきたのか?第7回「金という基準を失い、”専門家”に依存するようになった通貨制度」

こんにちは!自由主義研究所の藤丸です。

今回は「政府は私たちの通貨に何をしたのか?」シリーズの第7回目です。

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政府は私たちの通貨に何をしてきたのか? 第6回「金本位制の崩壊」|自由主義研究所
こんにちは!自由主義研究所の藤丸です☺️ 今回は「政府は私たちの通貨に何をしたのか?」シリーズの第6回目です。 前回はこちらです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 金本位制の崩壊   連邦準備制度(FRB)の設立当初は、一般のアメリカ人にとって、ほとんど生活に変化はありませんで...

金という基準を失い、”専門家”に依存するようになった通貨制度

アメリカで連邦準備制度が最初に設立されたときと同様に、1971年にリチャード・ニクソン大統領が「金 GOLD」との最終的なつながりを断ち切ったことは、当時の一般のアメリカ人の日常生活にはほとんど影響を与えませんでした。

ドルそのものに変化はなかったのです。

そして、1960年代半ばに始まったインフレは、そのまま続きました。

最も大きな影響を受けたのは、外国政府でした。

「ブレトン・ウッズ体制の崩壊」は、新たな不確実性の時代をもたらしたのです。

そして、新しい通貨制度が生まれました。

つまり、「金の裏付けのないアメリカドル」が、金の代わりに世界の準備通貨としての役割を担うようになったのです。

金という裏付けを失った各国政府は、「自国通貨への信認」をどのように確保するか、という課題に直面しました。

一部の国は失敗し、政府支出を正当化するために通貨発行に依存するという、過去と同じ過ちを犯しました。

たとえば、ジンバブエでは、無謀な政府政策によるハイパーインフレの結果、「100兆ジンバブエドル札」までも発行するに至ったのです。

100兆ジンバブエドル札!0が14個もある!

多くの小国は、自国通貨をドルに連動させましたが、それは自国の金融政策が、事実上アメリカ連邦準備制度によって左右されるということを意味しました。

イギリスを除くヨーロッパでは、共通通貨であるユーロと欧州中央銀行を創設し、どの国の政府も通貨発行の権限を乱用できないようにしました。

欧州中央銀行

ユーロ

世界銀行や国際通貨基金(IMF)などのグローバルな統治機関は、この新たな国際経済の中で開発途上国を支援するために設立されました。

最終的に、国際通貨制度は、「ハードカレンシーに裏付けられたシステム」から、「大学で訓練を受けた専門家たちの裁量に依存するシステム」へと変貌しました。

もちろん、過去の大きな経済危機を引き起こした「インフレ政策」の引き金となってきたのは、権力を持つ銀行家や政府当局者たちでした。

政府は常に、「インフレ政策の最大の受益者」です。

インフレは直接的な課税よりも容易に政府支出を賄う手段なのです。

通貨が国家によって支配されている限り、中央銀行は通貨供給を拡大し続けるというインセンティブを持ちます。

そしてその代償を払うのは、国民全員なのです。

その結果、経済危機はより大規模かつグローバルなものとなっていきました。

景気循環の好況と不況は、「実体の富に裏付けられていない通貨」と「信用の拡大」によって、引き起こされます。

金とのつながりを失ったことで、政府、中央銀行、大手金融機関はこれまで以上に多くの通貨と信用を創出してきました。

1970年代のスタグフレーションから2008年の金融危機に至るまで、中央銀行の政策は、ますます深刻な経済危機の種をまき続けてきたのです。

そのもうひとつの帰結は、恒常的なインフレを「あたりまえ」のものとすることでした。

1792年から1932年にかけて、金1オンスの価格はおおむね20ドルで安定していました。

フランクリン・ルーズベルト大統領がアメリカ国内で金の交換を停止し、ニクソン大統領が国際的に金本位制を終了させるまでに、その価格は32ドルからドル45に上昇しました。

2021年には、金1オンスは1800ドルを超える価格になりました。

次回は、このインフレがもたらした影響について詳しく見ていきます。


編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2025年11月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。