農林水産省の2025年「農林業センサス」は、基幹的農業従事者が5年間で25%減ったことを示したことが国民に衝撃を与えている。
一方で、深刻な数字に見えるが、実態は売上の低い零細農家の離農が中心であり、長年続く保護政策のゆがみが表面化しただけとも言える。
【農林業センサス2025 分析】
農産物販売金額規模別経営体数を2015、2020年と比較してちょっとグラフでまとめてみました。
「農業経営体 5年で約25万減!」と、
メディアでは農家の数が減った減ったと騒いでいますが、数字の読み方でかなり印象が違う気がします。… pic.twitter.com/wz7w0A9nl7— 角田 誠|書籍農家のための売る技術100|農業デザイン|Podcast アグデザ (@tunoda_f_makoto) December 1, 2025
- 基幹的農業従事者は102万1千人で、2020年比で34万2千人減の25.1%減。過去最大の減少となった。
- 減ったのは主に零細・兼業農家で、農業所得がほとんどない層の退出が進んだ形だ。
- とくにコメに関しては、341円/kgの関税で高値が維持され、消費者は選択の自由を奪われている。関税撤廃が進めば、米需要の半分近くが安い輸入米に置き換わり、消費者の利益のなる。
- 政府は「国内生産の減少」や「食の安全保障」を懸念するが、肥料や燃料を輸入に依存する以上、自給率が高くても危機には対応できない構造のままだ。
- 日本の農業従事者の平均年齢は70歳近く、産業としての担い手はすでに限界に近い。危機感は20年以上前から指摘されてきたが、構造改革は進まなかった。
- 零細農家保護を優先する与党、関税改革に踏み込まない野党の双方が、現状維持を続ける背景になっている。
- 税金を投じて輸入されるアメリカの高品質米のカルローズが、国民ではなく飼料や輸出に回る制度も、非効率さを象徴している。
農家の急減は、日本農業の危機というより、無理に維持されてきた零細構造が自然に縮んでいる姿だ。高関税と補助金に依存する現行制度は、消費者にも生産者にも利益をもたらしていない。輸入自由化を進めつつ、世界で戦える農家を育てる方向へ転換できるかどうかが、日本の農政の分岐点になっている。






