日本の長期金利が18年ぶりの高水準に達した。日銀の利上げ観測に加え、高市政権が進める積極財政への不安が重なり、国債市場は金利上昇圧力が強まっている。市場は「2%の壁」が目前に迫ったことで、長年続いた超低金利時代の終わりを現実のものとして受け止め始めたのかもしれない。
- 4日の東京債券市場で、新発10年国債利回りが1.93%前後まで上昇し、2007年7月以来の高さを記録した。前日比で0.035〜0.045%上昇した。
- 背景には、日銀が12月会合で利上げに踏み切るとの観測が強まったことがある。1日の植田総裁の発言をきっかけに国債売りが続き、金利上昇が加速した。
- 高市政権の積極財政路線による財政悪化への懸念も強まり、外国人投資家を中心に国債離れが進んでいる。
- 「このスピードは異常」という声も出ており、夜間市場では海外勢による仕掛け的な売りが目立つ。金利は2%の節目に迫る。
- 日本の長期金利は理論的に見ても「まだ低すぎる」とされ、実質金利・期待インフレ率・財政リスクを踏まえれば、上方余地が大きいという見方が多い。
- 日本は毎年150兆円規模の国債借り換えがあり、金利上昇は利払い増加を直撃する。
- 日銀のバランスシート悪化も深刻だ。国債の含み損は32.8兆円に膨らみ、金利上昇が続けば50兆円規模に達するとの指摘がある。株価調整が重なれば、ETFの含み益46兆円も消えるリスクがある。
- 世論には依然として減税や財政拡大を求める声が強い一方、金利という制約への理解は乏しく、政策期待と市場現実の乖離が広がっている。
長期金利の急上昇は、日銀の政策正常化観測だけでなく、日本の財政と国債市場の信認が試される局面に入ったことを示している。2%の節目が目前にある中、積極財政の持続性、日銀のバランスシート、そして国債市場の安定が同時に問われている。長年先送りされてきた課題が、いよいよ市場を通じて突きつけられ始めた。

植田和男日銀総裁 日本銀行HPより






